豚肉


9月も前年を上回る生産量

 5年9月の国内生産量は、出荷頭数が前年並みにもかかわらず、冷夏の影響で豚の
増体が良好だったこと等から、8万3千616トンと前年わずかに上回った(1.7%)。
生産量を最近の傾向が良く分かるように季節調整済み値でみると、今年に入り増加
傾向で推移している(図1)。

 なお、農林水産省畜産局によると、10月の肉豚出荷頭数(見込み)は168万頭、
11月は164万頭とそれぞれ前年をわずかに下回ると見込んでいる。


チルドの輸入量は毎月1万トン台が定着

 9月の輸入量は、デンマーク産が減少したものの、台湾産が加工用のすそものの
フローズンを中心に増加したことから、3万6千606トンと前年をやや上回った(3.9
%)。

 5年度上半期の輸入量をみると、総量では前年をやや下回っているが(▲3.2%)、
国産品と競合するチルドは前年をかなり上回っており(12.0%)、毎月1万トンを
超える輸入が定着した形となっている。なお、国別のシェアは、台湾43.0%、デン
マーク30.8%、アメリカ15.5%となっている(図2)。


国産品在庫が突出した上半期の需給動向

 9月の推定出回量(消費量、部分肉ベース)は、12万5千811トンとほぼ前年並み
となった。

 豚肉の上半期の需給動向を前年と比較すると、供給面では輸入量が減少する一方、
近年減少を続けてきた生産量が下げ止まった。また、消費量はほぼ前年並みとなっ
ているものの、在庫は国産品がかなり増加していることがわかる(図3)。


10月末までに7千頭の調整保管を実施

 9月の枝肉卸売価格(東京市場、省令)は、8月とほぼ同じ423円/s(▲22.4%)
となったが、下旬以降、400円/kg(安定基準価格)をわずかに上回る価格で推移
した。

 10月に入ると、卸売価格がさらに低迷を続ける可能性が高くなったことから、7
日より全国農業協同組合連合会、食肉加工業者の団体等を実施主体とすうる調整保
管が実施されている。10月末までの実施頭数は6千989頭に達した。この結果、10月
(速報値)は先月より16円/kg値を下げたものの、407円(▲7.1%)と安定基準価
格をわずかに上回った。しかし、「中」規格は価格の下落幅が大きくなっている
(図4)。


今月のトピックス
冷夏を反映し、1頭当たり枝肉重量は増加

 夏場は暑さのために豚の増体が悪くなるのが一般的であるが、今年は冷夏の影響で「良い」と関係者の間で言われていた。9月の豚1頭当たり枝肉重量をみると、今年はなるほど近年になく大きい。生産者にとって豚の増体が良いということは好ましいことなのだが、豚価低迷が何とも恨めしい。
   枝肉重量 指数
元年9月 73.0kg/頭 100.0
2  〃 72.3 99.0
3  〃 73.3 100.4
4  〃 73.4 100.5
5  〃 74.6 102.2



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