〔牛 肉〕 推定期末在庫は9万3千トン台に 5年9月の推定出回り量(消費量、部分肉ベース)は、輸入品の出回り量が依然と して多く、全体で7万8千215トンと前年をかなり上回った(7.9%、図1)。 推定期末在庫は、需要を上回る輸入量の増大により、4月以降増加の一途をたど ってきており、9月の輸入量が8月を約3千トン上回ったことから先月末に比べ約2, 600トン増加し、9万3千494トン(23.3%、図2)となった。うち輸入品が88.4%を 占めている。 牛肉生産量ほぼ前年並み 9月の牛肉生産量は、3万3千954トンとほぼ前年並みであった(▲0.9%、図3)。 種類別のと畜頭数を見ると、去勢和牛、めす和牛とも増加(それぞれ5.3%、12. 8%)し、和牛全体では4万3千900頭と前年をやや上回った(5.5%)。一方、乳牛 は、乳めすが増加(3.7%)したものの、乳用肥育おす牛の減少(▲7.1%)が大き かったことから7万7千頭と前年をわずかに下回った(▲1.9%)。 牛肉の輸入量は依然高水準 9月の輸入量は、冷蔵品の大幅な増加から、4万6千850トンと高水準が続いており (23.1%、図4及び図5)、4〜9月の累計でも30万400トン(25.9%)となっている。 事業団が36商社から聞き取った独自の調査によると、10月の輸入見込みは、冷蔵 品2万5千トン、冷凍品2万3千トン、合計約4万8千トン前後と9月をわずかに上回る ものと見込まれ、また、11月については、10月よりもやや下回るものと見込まれる。 省令価格は前年並み 9月の省令価格(東京市場、以下同じ)は、1,068円/sと前年並み(0.1%)で あった(図6)。10月の価格(速報値、瑕疵のある枝肉を除く)は、省令価格は、1, 110円/kgと前年を上回っている(4.3%)が、他の和牛、乳牛の主要なクラスの価 格は、鍋物需要が本格化する前の端境期でもあり、輸入牛肉との競合もあって、取 引を活発化させる要因も薄く、東京市場の場合、和牛・乳牛ともおおむね前年を下 回って推移した。 一方、9月から10月上期にかけての輸入牛肉価格(国内仲間相場)は、一部の冷 蔵品の価格が上昇気味であるが、輸入牛肉の荷余り感から、北米産のショートプレ ート(冷凍)が400円前半/kg、テンダーロイン(冷凍)が1,600円弱/kg、豪州産 フルセット(冷蔵・グラス)が500〜600円台/kgで推移する等、総体的に弱含み傾 向が続いている。 〔肉用子牛〕 黒毛和種は回復傾向 9月の黒毛和種の子牛価格(雌雄平均、以下同じ。)は、肥育農家側では経営の 収益性に改善の兆しがみえ、素牛の導入意欲がやや強含みに推移しているものの、 前月を3千円下回る32万5千円/頭となり、10月の速報値(11月10日現在、以下この 項で同じ)でも、31万5千円となっている(図7)。 軟調傾向にあるヌレ子 9月の乳用種の子牛価格は、8万3千円/頭と前月より価格を下げたが、10月の速 報値では8万8千円と価格を上げている(図8)。9月の乳用種のヌレ子の価格は、5 万6千円/頭とほぼ前月並みであったが、10月の速報値では5万5千円とわずかに値 を下げている(図8)。 今月のトピックス
肉用牛肥育経営安定緊急対策事業は第2四半期も発動 平成5年度第2四半期(7〜9月)の状況は、乳用種は導入時の素牛価格は低下し枝肉価格も回復の兆しがあるものの、また、肉専用種は導入時の素牛価格が高水準であった上に枝肉価格が低下したことから、いずれも肥育牛1頭当たりの平均推定所得が家族労働費を下回った。このため農林水産省は、11月5日に本事業の第2四半期の発動を決めた。その内容は、肥育牛経営の経営継続を支援するため、出荷頭数の範囲内で肥育牛を導入したものに対して導入等の経費を軽減するための助成金を交付するもので、助成金単価は、1頭当たり肉専用種は2万円、乳用種は1万円となっている。 |
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