◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

  オーナー制度で繁殖和牛の振興を!

                                                          (愛知県 近藤 一)

 


 愛知県東加茂郡旭町の畜産の中心は和牛の繁殖経営であるが、 隣接する工業
都市への通勤圏内ということもあり、 飼養農家の高齢化、 後継者不足のため頭
数は減少傾向にある。 そこで町では、 和牛の振興対策として町営八幡牧場内に
牛舎を作り、 繁殖和牛のオーナー制度をとり入れた。 
 
  オーナー希望者は、 町和牛改良組合を通じ地元の家畜市場でメス子牛を購入
し、 牧場を管理する(財)旭高原自然活用村協会に預託する。 施設の利用料の
他、 飼料代、 家畜共済掛け金、 人工授精代金等の実費はオーナーの負担。 生産
された子牛は家畜市場で販売され、 代金はオーナーの収入となるシステムで、 
現在20数名の町民がオーナーとなっている。 
 
  同牧場は、 これまで夏山冬里方式により放牧地として利用され、 コストの低
減と夏季の労力軽減に役立ってきた。 牛舎が完成したことにより、 周年の飼育
管理が可能となり増頭が図られる他、 生産者が事故、 病気などにより一時的に
牛の飼養管理ができなくなった場合の対応も可能となる。 また、 牧場は、 海抜
600メートルの高原に位置し、 県教育委員会の運営する宿泊施設が隣接しており、 
農作業、 牛の管理等の体験学習の機会も提供している。 
 
  オーナー制度を取り入れた町主導型の飼養管理方式は、 同郡足あ助すけ町で
も取り組まれており、 地元家畜市場の上場頭数の確保とともに和牛飼育農家の
牽引力にもなっている。 
 


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