◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

  猛暑で家畜もグッタリ!

                                                          (鹿児島県 有村 裕之)

 


 昨年、 鹿児島県は豪雨や台風による家畜への直接被害や、 長雨冷夏による飼料
作物の不作など被害を受けたが、 今年は逆に猛暑と日照りの毎日である。 
 梅雨明け以降の連日の猛暑で、 乳牛の泌乳量が落ちるなど畜産への影響が出
ている。 県内の家畜の被害は次のとおりである。 

(1)乳 用 牛;採食量の減少に伴う泌乳量の減少、 分娩後の起立不能の発生

(2)肉 用 牛;熱射病 (脱水症状) による子牛の死亡

(3)豚    ;分娩前後の母豚の衰弱に伴う死亡

(4)ブロイラー;管理ミス (送風機のスイッチの入れ忘れ等) による死亡
畜 種 死亡又は廃用頭数 畜種 死亡又は廃用羽数
乳用牛 8 採用鶏 830
肉用牛 38 ブロイラー 10,620
53
                        (H6.7.26現在)
 夏季は、 家畜にとって暑熱ストレスが大きく、 産乳、 産肉、 繁殖面での生産
性の低下がみられ、 南九州 (西南暖地) における家畜飼養は大変な気苦労と知
恵が必要である。 まず、 畜舎構造は夏季のことを考えて開放式とし、 屋根構造
を工夫し自然換気と通風を良くしている。 防暑対策として、 屋根から侵入する
熱を防ぐために、 屋根に散水したり、 白ペンキの塗装のほか、 畜舎内では大型
送風機やダクト送風により効率的な温度低下を図っている。 また、 直射日光を
防ぐため遮光ネットを畜舎のまわりや運動場の上に張り、 人工的に日陰を作っ
たりしている。 
 
  本県では、 これらの防暑対策を各畜産農家がそれぞれ工夫し、 組み合わせて
実施しており、 今年のような猛暑でも思ったほどの被害が出ていない。 しかし、 
防暑対策のためのコストアップは避けられない。

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