★ 事業団便り


プロによる洋菓子・パンコンクール、開催される


プロが競うコンクール

 社団法人全国牛乳普及協会及び社団法人日本乳製品協会主催の'94「バター・
生クリームを使ったプロによる洋菓子・パンコンクール」が3月11日(金)に東京
製菓学校(新宿区高田馬場)で開催されました。

 このコンクールは、バター・生クリームの需要拡大を図るため、「出でよ、次
のヒット商品!」をキャッチフレーズに、バターや生クリームを使い消費者の心
をつかむ洋菓子・パンの新たなヒット商品をつくることを目的として、今回初め
て行われたものです。

 また、このコンクールの特色として洋菓子・パン業界の代表者からなる専門審
査員の他に、洋菓子・パンのヒット商品が若い女性を中心に生まれていることを
念頭に、女子高校生・女子専門学校生・女子短大生・女子大生・OLの25名が一
般審査員として参加しました。

 コンクールに先立ち、洋菓子・パン製造に携わる全国の技術者から、洋菓子部
門56作品、パン部門32作品、計88作品の応募が寄せられ、その中から書類審査を
通過した洋菓子部門20作品・パン部門10作品、計30作品により農林水産省畜産局
長賞(グランプリ)他が競われました。


コンクール始まる

 開会式では、(社)全国牛乳普及協会鴻巣健治会長より「パンやケーキなどは
欧米では広く普及していますが、日本に入ったのは17世紀ごろで、大衆に浸透し
てからの歴史は浅く、戦後50年の間に今日のように普及するようになりました。
皆さんの腕によりをかけた作品を見せて頂きたいと思います」との挨拶がありま
した。

 続いて出場者は洋菓子部門とパン部門の会場に分かれて、早速それぞれの作品
にとりかかりました。製作時間は、洋菓子部門が4時間、パン部門が5時間です。

 ピーンと張りつめた空気の中に、材料を洗う水音や器具のふれあう音だけが響
いています。すばやく生地をこねては伸ばし、形を整えていくパン部門の出場者
の手つきはまさに職人芸という感じです。洋菓子の会場は3つに分かれています
が、ある部屋はチョコレートの香りが強く、ある部屋はなんともいえない甘い香
りと、面白いことにそれぞれの会場で漂う香りが違います。また、素材に酒粕を
使っている作品もありました。どんなお菓子やパンが出来るのだろうと想像しな
がら見ているうちに、製作終了のチャイムが鳴りました。



「エム・ココ」と「硬焼バター」がグランプリを受賞

 作品が別室にずらりと並べられ、いよいよ審査が始まりました。かわいらしい
プチガトゥ(小さいお菓子)や色とりどりに飾られたケーキを前に、専門審査員
の審査終了後、一般審査員の人たちが熱心に審査をしています。ひと口食べては、
じっくりと吟味して用紙に細かく記入をしている姿があちこちで見受けられまし
た。一般審査員の人たちは、初めての経験のためか審査には時間がかかったよう
です。

 さて、いよいよ審査の結果が発表されることになりました。グランプリは洋菓
子部門では(株)レストランクレッセントの柳正司さんの作品で、ココナッツと
カラメルのムースの「エム・ココ」が、パン部門では(株)ドンク京都の玉木潤
さんの作品で、バターの風味を生かした「硬焼バター」が選ばれました。お二人
は次のように受賞の喜びを語っていました。

「お菓子の組立が複雑でしたが、時間的配分がうまくいったのでよかった。買い
やすくて小さなものをと思って考えました」(柳正司さん)、

「柔らかいパンが主流になってきているので、歯ごたえのあるパンをと思って作
りました。バターを使うのでパンの外皮が柔らかくなるのですが、それをフラン
スパンのように堅くするのが大変でした」(玉木潤さん)

 また、審査員からは次のような講評がありました。

「仕上がった最後の姿はいいのですが、中身とのバランスがちょっと崩れてしま
った作品もありました。皆さん接戦ですから、総合的なバランスが決め手になる
と思います」(洋菓子部門:大井川光照審査委員長)、

「審査は見た目、おいしさ、そしてヒット性に重点を置いて行いました。いずれ
も甲乙つけ難い作品ばかりで、審査する側も非常に苦労しました」
(パン部門:三藤喜一審査委員長)

 今回、プロによるコンクールということで、それぞれ店の看板を背負っての出
場は相当なプレッシャーがあったと思いますが、出来上がった作品はどれも素晴
らしくさすがプロというものばかりでした。この中から多くのヒット商品が出て、
バター、生クリームの需要拡大につながることを期待したいと思います。

                       (企画情報部 富澤由記子)



-- 参考 --
   入 賞 者
○農林水産省畜産局長賞

洋菓子部門 

「エム・ココ」 柳 正司((株)レストラン クレッセント、東京都)

パン部門

「硬焼バター」 玉木 潤((株)ドンク京都、京都府)


○畜産振興事業団理事長賞 

洋菓子部門

「ラ・ネージュ」 山本 有高(JT徳島プリンスホテル、徳島県)

パン部門 

「フォーティーンミルク」 金子 祐介(神戸屋キッチン国立店、東京都)


○(株)全国牛乳普及協会会長賞 

洋菓子部門

「ダンスィングトロピック」 鈴木 芳男(ザ・マンハッタンホテル、千葉県)パン部門

「パン オ ムータード」 橋本 高広((株)ホテル西洋、東京都)


○(株)日本乳製品協会会長賞

洋菓子部門

「カラメルぽえむ」 石川 博((株)藤井商事 ぱてすりいふじい、神奈川県)

パン部門

「パン ドゥ タラサ」 北川 裕土((株)タラサ・ジャパン、三重県)



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