この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。 |
肉用子牛の哺育管理において、 抗体価の高い初乳を如何に早く飲ませるかが、 その後の発育にとって非常に重要であることは周知の事実。 しかし、 初乳の中 には抗体価が低く、 移行免疫がほとんど期待できないものがあったり、 牛床が 汚れ、 湿潤しているので、 母牛の乳頭が下痢等の原因菌て汚染していることも 少なくない。 このような場合は、 母乳を飲ましているからといって安心しては いられない。 北海道北見市の小野牧場では、 酪農 (経産牛45頭) と黒毛和牛繁殖 (母牛5 頭) との複合経営のメリットを活かした黒毛和牛の哺育管理を実践している。 酪農部門で生産された初乳は抗体価の高い比重1. 04以上の初乳を自然発酵させ 、 発酵乳として飲ませたり、 1s程度のパックで冷凍保存する。 黒毛和種の子 牛が産まれると即カーフハッチに収容し、 保存初乳を用いて哺育育成を開始す る。 せっかく出る黒毛和牛の母乳の未利用に若干の抵抗感はあるが、 母牛が暴れ たり、 乳房炎になることはない。 また、 和子牛の発育もよく、 母牛の繁殖機能 の回復に優れ、 酪農部門と同一管理できる等メリットが多い。 複合経営ならではの手法ではあるが、 和子牛の管理を母牛まかせにせず、 母 子がもっている能力を十分に引き出す管理方法として注目される。