◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

   「肉用牛生き残り戦略」 

和牛の里でシンポジウム

                                                          (鳥取県 山崎 和夫)
 地域農林経済学会中国支部大会が9月9日鳥取県日野郡日南町で開かれた。 
「国際化時代における肉用生産地の生き残り戦略を探る」 をテーマにシンポジ
ウムを行い、 大学教官をはじめ県、 農協の畜産担当者、 農業者など約80人が低
迷する肉用牛生産の振興策を議論した。 
 
  シンポジウムでは、 「子牛1頭育てるのに5万円の赤字が現状、 それを補給
金等で補っている」、 「優良牛は次々県外に流出している」 等肉用牛生産の低迷
が一層深刻化している実態が改めて示された。 
 
  報告や質疑の中で 「低迷している子牛の価格を支えるためにも繁殖だけでな
く、 肥育をセットした肉用牛の地域内一貫経営が望まれる」 という提案に対し、 
会場から 「地域内でなく1戸の経営体 (農家) での一貫経営の方が今後の進む
べき道ではないか」 といった意見が出され、 後者の考え方が大勢を占めた。 
 
  また、 「コストを抑えるため規模拡大や放牧を復活させては」 などの提案もあ
ったが、 「入会牧野では手間や経費がかかり、 ムラの共同作業もやりにくいので
わが家の裏山放牧が望ましい」 との意見もあった。 
 
  熱のこもった様々な意見の交換がなされたが、 ともかく、 この厳しい現状を
乗り切るためには、 個別対応では限界があるので、 組織力を生かした戦略の確
立を求める声が強かった。  

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