◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

若手酪農家がモッツァレラチーズづくりに挑戦

(岩手県 佐藤 明子)

  岩手県滝沢村花平地区は、 県中央部の岩手山麓に位置する酪農地帯である。 
この地区には現在33戸の酪農家がおり、 農業後継者も多い。
  
  その中で、 乳製品加工や肉加工など畜産物加工に関心の高い6名 (夫婦が
2組と20代の女性2名) が、 平成7年4月に 「ミルク&ビーフリサーチイン
花平」 というグループを結成し、 岩手県農業担い手育成基金から助成を受け
て、 研究グループ活動を開始した。 楽しい酪農を目指して自家生産物を再認
識し、 農家生活を楽しむことを目的としている。 

 第1回目の活動として、 5月に、 岩手県大迫町チーズ生産組合の伊藤行雄
氏を講師に迎えて、 モッツァレラチーズ (長期熟成しないタイプのピッツァ
用ナチュラルチーズ) づくりに挑戦した。 全員がチーズづくりは初体験であ
ったが、 レンネットを添加して牛乳が凝固してくる頃になると皆、 興味津々
で、 カードナイフでの細切後のかくはんを交代で2時間余り行った。 時間の
経過とともにカードの変化を確認し、 チーズの熟成過程をそれぞれの腕で、 
舌で確認した。 約2週間後、 地区の人々にも報告会を行い、 成果品の手作り
のチーズを味わってもらった。 

 今後は、 この地区に新たに造成されたハーブ園で生産されるミントなどの
ハーブを利用したアイスクリームや、 肥育した乳オスの不需要部位を利用し
た薫製づくりなどにも取り組むこととしており、 これまで余り行われること
のなかった畜産物加工を通して、 地域住民をも交えた新たな交流の輪が広が
ることであろう。 
 

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