◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

良質な牛肉はえさづくりから

(鳥取県 山下 明登)

  経産牛30頭以上の酪農経営では男性1人当たりの年間労働時間が約2,700
時間。 このうち約半分は搾乳作業であり、 その省力化は緊急課題である。 
 
 帯広畜産大学の家畜生産管理学教室 (新出陽三教授) では、  (株) クボタ
の協力でオランダのプロライオン社の搾乳ロボットを導入し、 実用化のため
の共同研究を平成5年12月から行ってきた。 これはわが国で最初に導入され
たロボット搾乳であり、 平成7年度は管内の酪農家にも試験的に設置が計画
されている。 
 
 搾乳ロボットは、 搾乳機2台と制御するロボット1台で構成され、 タンデ
ム型の搾乳ストール2つを利用している。 これまでの試験結果では、 1時間
に搾乳できる頭数は13〜15頭で、 70頭前後の場合1日2回の搾乳でロボット
の作動時間は10時間であった。
 
 また、 搾乳ストールは牛が搾乳しやすい姿勢で立つように床面に工夫がさ
れ、 ティートカップは牛の右側から装着される。 ティートカップの自動装着
には、 超音波センサーが働いて乳頭の位置を確定して行われる。 乳頭位置の
センシング開始からティートカップ装着までに要する時間は30〜80秒。 1〜
2回のセンシングで装着できるのは牛群の85%程度と報告された。
 
 現状では搾乳できない牛が10%程度出るため、 これらを再度搾乳ストール
に追い込んで自動又は手動で搾乳しているのが実態である。 機械の改良とロ
ボット搾乳に向く牛の選抜・育種改良が必要だ。 将来的には、 酪農労働の大
幅軽減やコンピュータを利用した精密な乳牛群の管理が可能となり、 酪農の
次代を担う若者にとって魅力であることは確かである。 

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