◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

ふれあい施設で、 都市住民との交流を

(愛媛県 中谷 哲哉)

  四国のほぼ中央部、 高知県との境に位置する愛媛県上浮穴郡柳谷村 (かみ
うけなぐんやなだにむら) の姫鶴 (めづる) 牧場で、 平成元年度から進めら
れていた公共牧場機能強化事業は、 平成5年度で終了し、 ふれあい施設を備
えた牧場として、 新しく生まれ変わった。 

 当牧場は、 日本三大カルストの一つ四国カルストに、 国営草地開発事業に
より昭和54年度に開設されたもの。 肉用牛の夏山冬里方式による畜産を振興
し、 野菜との複合経営における夏期の労働配分の安定に大きく寄与してきた。 
 
  今回の事業で牧場の本来機能を強化するとともに、 牧場の有する緑資源を
都市住民に提供し、 森林浴や自然とのふれあいを深める人々を対象とした遊
歩道、 休憩所、 ベンチ等の 「ふれあい施設」 を整備した。 また、 今年度は135
頭の夏期放牧を行っており、 カルスト高原に遊ぶ放牧風景はすばらしく、 点
在する石灰岩と相まって、 全国的に有名な山口県の秋吉台に匹敵するものが
ある。 

 同村では、 牧場に隣接し、 ロッジ、 キャンプ場、 スポーツ広場、 野外ステ
ージ等を整備し、 畜産と観光・水と緑のふれあい村づくりに取り組んでいる。

  毎年7月下旬には、 柳谷牛を使ったバーベキュー祭り 「フェスティバルin 
四国カルスト」 を開催し、 地域住民及び松山市など近郊都市住民との交流も
行われており、 年間では約2万人が当地を訪れている。 
 
  柳谷村におけるこれらの取組みは、 畜産適地としての、 過疎の中山間地に
おける肉用牛を取り入れた地域産業の振興策として注目されている。 また、 
畜産に観光を結び付けたことにより、 村民の産業振興と地域の活性化に寄せ
る期待は大きいものがある。 さらに、 都市住民の畜産に対する理解を深める
役割も期待されている。 
 
 

元のページに戻る