◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

大規模家畜ふん尿処理施設が本格稼働

(鹿児島県 谷口 昭二)

  鹿児島県枕崎市が国の補助を受け、 平成5年から2カ年で建設を進めてきた
 「枕崎市クリーン堆肥センター」 (総事業費675,000千円) が今年3月に全施
設完成し、 4月から本格稼働を始めている。 このセンターの管理運営は枕崎市
農協が行っている。 
 
 平成6年4月から一部稼働を始めている、 微生物を利用する活性汚泥法の一
つである低負荷・回分式活性汚泥処理法による尿の浄化処理施設では、 周辺の
養豚農家 (3戸、 肉豚5, 500頭) からパイプラインで送られてくる尿と汚水 
(25トン/日) が処理される。 汚泥はたい肥に、 環境基準をクリアした処理水
は川へ放流されている。 その結果、 悪臭はほとんど発生していない。 
 
 今年4月から稼働しているたい肥化処理施設では、 48戸の畜産農家から1日
約48トンの牛、 豚、 鶏ふんが搬入され、 年間14,500トンを処理し、 4,600トン
のたい肥を生産する計画である。 たい肥は、 バラ売り用として460トン、 袋売
り用 (15キロ/袋) として4,140トン (277千袋) が製品化され、 地域の農家
や一般家庭に販売されるとともに、 県外へも販売される。 製品化工程には自動
システム (ロボット) が取り入れられ、 省力化が考慮されている。 悪臭が発生
するたい肥発酵施設内の空気をダクトを通じて土壌脱臭施設に送り込むことに
より、 悪臭発生量を抑制するなど、 環境に配慮した近代的な家畜ふん尿処理施
設である。 
 
 今後の畜産の健全な発展にとって畜産環境問題は重要な課題であり、 このよ
うな近代的な大規模家畜ふん尿処理施設の整備が望まれるところである。 
 

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