最近の畜産物の需給動向

  
 国内の主要畜産物の短期需給動向を毎月トレースします。 
・原データは、 巻末の参考資料を御参照願います。 
・( ) 内数値は、 対前年増減率です。
・季節調整は、 米国商務省のセンサス局法 (X−11) によっています。  
・牛肉及び豚肉の数量は、部分肉ベースです。

                                 乳業部、食肉生産流通部、企画情報部

 〔  牛  肉  〕
6月の生産量 ほぼ前年同月並み

  6月の生産量は、 3万2千268トン (0.6%) とほぼ前年同月並みとなった
(図1)。 
 
  和牛は1万3千181トン (4.9%) と前年同月をやや上回り、 特にめす和牛
の生産量が引き続き前年同月をかなり上回っている (6.8%)。 
 
  乳牛は、 乳用肥育おす牛が前年同月をやや上回ったものの、 乳用めす牛が
かなり下回ったため、 合計では1万8千515トン (▲1.6%) と前年同月をわ
ずかに下回った。 
 

6月の輸入量 大幅な増加が続く米国産冷蔵品

 6月の輸入量は、 5万4千618トン (14.2%) と前年同月をかなり大きく
上回った (図2)。 
 
  国別にみると、 米国産が冷蔵品、 冷凍品ともに大幅に増加し、 2万4千473
トンと前年同月を大幅に上回った (47.5%)。 一方、 豪州産は主力の冷蔵品
が前年同月を大幅に下回ったため、 冷凍品と合わせて2万5千568トンとか
なり下回った (▲9.5%)。 

 事業団では、 7月の輸入数量は6万1千トン (冷蔵品3万1千トン、 冷凍
品3万トン)、 8月は5万5千トン (冷蔵品3万2千トン、 冷凍品2万3千ト
ン)、 9月は冷蔵品は8月並み、 冷凍品は8月に比べ減少するものと見込んで
いる (牛肉の品目別輸入動向調査)。 


6月の推定出回り量  4月以降2桁の伸びの輸入品  

  6月の推定出回り量は、 8万7千248トン (9.0%) と前年同月をかなり上
回った (図3)。 国産品は、 生産がほぼ前年並みであったため、 わずかに上回
っただけであったが、 輸入品は輸入が増えたことから5万4千817トン(13.4
%)と4月以降連続で2桁の伸びとなっている。 
 
  5月の家計消費量 (全国1人当たり) は、 303グラムと引き続き前年同月を
やや上回っている (4.5%)。 


6月の国産枝肉卸売価格  前年同月と同水準 

 6月の省令価格 (東京市場) は、 945円/kg(▲0. 1%) と前年同月と同水
準であった (図4)。 
 
  6月の卸売価格 (東京市場) を品種別、 規格別にみると、 去勢和牛のA5、 
A4はそれぞれ、 2,487円/kg (▲6.4%)、 1,779円/kg (▲8.6%) と前年
同月をかなり下回ったものの、 A3、 A2はわずかな下げにとどまった(図5)。
 
 乳用種去勢牛のB2は競合する輸入牛肉の出回り量が大幅に増加しているこ
と等から、 549円/kg (▲11.3%) とかなり大きく前年同月を下回った。 一
方、 交雑種去勢牛のB3は1,107円/kg (0.5%)とほぼ前年同月並みとなった。
 
 7月の省令価格 (東京市場・速報値・瑕疵のある枝肉を除く。)は、 956円/
kgで、 主な品種、 規格の値動きは6月とほぼ同様であった。 


6月の輸入牛肉仲間相場 冷凍チャックリブは大幅に上昇

 6月の豪州産牛肉の仲間相場は、 主要品目の冷蔵品 「グラスフェッド・フ
ルセット」 が489円/kgと500円台を割り、 引き続き前年同月をかなり大きく
下回った (図6、 ▲15.0%)。 北米産牛肉は、 冷凍品 「チャックリブ」 が、 
好調な焼き肉需要を反映して1, 031円/kgと1,000円台に乗せ、 輸入牛肉の
ほとんどの品目が値を下げる中で唯一、 大きく値を上げている (45.4%)。 
  
〔  肉 用 子 牛  〕
6月の黒毛和種の価格 前年同月をかなり大きく上回る
 6月の黒毛和種の取引頭数は、 3万1千720頭 (▲5. 8%) と前年同月
をやや下回った。 取引価格 (おす・めす平均) は、 32万4千円 (15. 7%) 
と前年同月をかなり大きく上回った (図6)。 
6月の乳用種の価格 前年と同水準
 6月のホルスタイン種の取引価格 (おす・めす平均) は5万7千円と前
年同月と同じであった。 6月の乳用種ヌレ子の取引価格は、 6万3千円 (
31. 3%)と引き続き前年同月を大幅に上回った。 

 平成7年度第1四半期の指定肉用子牛の平均売買価格は、 黒毛和種を除
く全品種で保証基準価格を下回り、 生産者補給金が交付されることとなっ
た。 
 
 今月のトピックス
冷凍牛肉の輸入にセーフガード発動
 第1四半期 (4月から6月まで) の冷凍牛肉の輸入数量は8万3千97ト
ンとなり、 関税の緊急措置 (セーフガード) の発動基準である7万9千916
トンを超えた。 このため、 8月1日から平成8年3月末まで、 冷凍牛肉の
関税率は48.1%から、 50%に引き上げられる。 

 今回の関税の引き上げ幅は、 1.9%であり、 為替の変化に比べれば牛肉
の価格に与える影響は小さいものと思われる。 むしろ、 1月以降大きく円
高に振れた為替相場の円安への振り戻しが、 今後の輸入動向に与える影響
が注目される。 


〔  豚 肉  〕
6月の生産量 前年同月をかなり下回る
 6月の国内生産は、 長期的な母豚の飼養頭数減少等により、 と畜頭数は
138万8千165頭 (▲8.5%) と前年同月をかなり下回った (図1)。 生産
量は、 と畜頭数の減少を受けて、 7万3千44トン (▲7.9%) とかなり前
年を下回った(図2)。 平均枝肉重量をみると、 75.2kg (速報値、 0.7%)
と前年並みとなり、 増加率の幅は小さいものの6年11月から前年を上回っ
て推移している。 
 
  7月のと畜頭数(速報値)は、 129万3千頭と前年同月をかなり下回り(▲
7.5%)、 6年6月から14カ月連続して前年を下回ることとなった。 
6月の輸入量  依然好調な冷蔵品の輸入
 6月の輸入量は、 豚肉生産量の減少等を背景に、 4万2千224トンと前年
同月をかなり上回った(11.1%、 図3)。 輸入相手国別のシェアを見ると、 
台湾からの輸入が全体の半数を占め(50.6%)、 次いで、 デンマーク(19.7%
)、 アメリカ (18.4%)、 カナダ (5.9%) の順となっている。 
 
  輸入量を冷蔵品・冷凍品別に見ると、 冷蔵品は、 昨年8月以降11カ月連
続して2桁の伸びを示しており (26.8%)、 3月以降、 1万4千トン台で
推移している(図4)。 冷蔵品の輸入を国別にみるとアメリカからの輸入の
伸びが顕著(33.0%) であるほか、 台湾からの輸入も増加の傾向にある(21
.7%)。

 一方、 冷凍品は、 合計で2万8千152トンと前年同月をやや上回った(4.6
%)。 台湾からの輸入の伸びが顕著(54.0%) であったが、 他の主要輸入相
手国(デンマーク、 アメリカ、 カナダ) からの輸入は、 いずれも前年を下
回った(それぞれ、 ▲26.1、 ▲22.1、 ▲18.8%)。 
 
  加工品等を含むセーフガード (SG) 対象品目の6月の輸入量は4万2千
387トンとなった。 これで、 第1四半期(4月〜6月)の累計は14万2千727
トンと、 緊急措置の発動基準数量の14万6千965トンをわずかに下回り、 セ
ーフガードは発動されなかった。 


6月の推定出回り量 国産減、 輸入増で前年同月並み
 6月の推定出回り量は、 12万707トンと前年同月並みとなった (0.2%、 
図5)。 内訳をみると、 国産品は生産量の減少を反映して、 前年をかなり
下回った (▲6.4%)。 一方、 輸入品は国産品の出回り量の減少を補うよ
うに増加し、 前年をかなり上回った(13.0)。
 
 推定出回り量を構成する消費の動向をみると、 5月の豚肉の家計消費量
(全国1人当たり) は398gと先月に引き続き前年を上回った(3.0%)。 また
、 事業団の小売動向調査 (量販店のPOS情報) でも、 3月以降、 豚肉の購
買数量は、 前年同月を上回って推移しており、 6月も前年をやや上回った
(4.9%)。 
 
  5月の豚肉の加工品仕向量は、 前年同月をわずかに上回った(1.8%)。 
食肉加工品生産量はロースハム、 ベーコンがやや前年を上回ったものの 
(それぞれ、 4.8、 3.0%)、 全体ではほぼ前年同月並みとなった(0.1%)。 

 

6月の期末在庫量  前年同月をやや下回る
 
  6月の推定期末在庫量は9万2千889トンと、 在庫水準の高かった前年同
月をやや下回った(▲3.0%、 図6)。 内訳をみると、 国産品は、 前年同月と
比べて、 生産量がかなり下回ったことに加え、 国産品の期首在庫量がかな
り低水準だったことから、 1万5千867トンと前年を大幅に下回った(▲22.3
%)。 一方、 輸入品は、 前年同月と比べて、 輸入量がかなり増加したものの、 
輸入品出回り量がかなり増加したことから、 7万7千22トンと前年をわずか
に上回った(2.4%)。 
 



6月の国産枝肉価格  前年同月をかなり上回る


  6月の卸売価格 (東京市場・省令) は、 冷蔵品の輸入量が大幅に増えたも
のの、 国内生産量がかなり減少したことなどから、 556円/kgと前年同月を
かなり上回った (11.4%、 図7)。
 
 7月の卸売価格は、 輸入物の出回りが大きく増加したとみられることから、 
512円 (速報値) と、 前年同月をわずかに下回った(▲1.5%)。 

 6月の国産豚肉の仲間相場を冷蔵品、 冷凍品別にみると、 冷蔵品は総じて
前年同月の価格を上回った。 冷凍品は、 加工用に仕向けられるもも等が前年
を上回ったものの、 その他の部位は値を下げた。 



6月の輸入豚肉仲間相場 低下傾向が続く


  6月の輸入豚肉の仲間相場 (卸売価格) は、 輸入量の急増等から、もも等
の部位を除き前年同月の価格を下回った。 冷蔵品ロースはアメリカ産が673
円/kg、台湾産は765円と、 前年同月をいずれもかなり下回った(それぞれ、 
▲11.4、 ▲8.8%、 図8)。 ヒレはアメリカ産が、 866円/kgと前月より4円
/kg値を上げたが、 台湾産は976円/kgと46円値を下げた。 前年同月の価格
と比べると、 米国産が大幅に、 台湾産がかなり、 いずれも下回った(それぞ
れ、 ▲20.8、 ▲13.5%)。 
今月のトピックス
 
  6月末の未通関在庫量は5月末に比べて、 4千748トンも増加し、 8千831
トン (うち冷凍品の割合は、 97.7%) と前年を大幅に上回る水準となった。 
  この未通関在庫は、 7月以降に通関されることから今後の輸入動向に影響
を与えるとみられる。 

 一方、 国内の生産状況は、 関係者によると、 梅雨明け以降、 暑熱の影響で
豚の食欲が減退し、 発育に遅れが生じ、 肥育豚の出荷の遅れが目立ってきて
いる。 このため、 9月以降に出荷が増え、 一時期、 国産豚肉の供給量の不足
が緩和されるとみられており、 秋以降はこれまで急増してきた輸入量が一服
する可能性もある。
 

  〔  鶏  肉  〕 
6月の生産量 前年同月をわずかに上回る
 6月の生産量は、 2カ月前のひなえ付け羽数が前年同月を4%下回ったに
もかかわらず、 10万6千710トンと前年同月をわずかに上回った(1.3%、 図
1)。  これは、 昨年6月の生産量が、 空梅雨による暑熱の影響で1羽当たり
の出荷重量の減少や出荷率の低下から、 例年を下回ったことによる。 

 今後の生産指標となる6月のブロイラー用ひなえ付け羽数は、 5千210万羽
と前年同月をわずかに下回った(▲2.6%、 図2)。 農林水産省統計情報部によ
ると、 7月、 8月、 9月のブロイラー用ひな出荷羽数は、 それぞれ前年の同
月と比べて95%、 96%、 98%と、 いずれも前年水準を下回ると見られている。 

 我が国の生産量の約半分を占める主要三県(岩手、 宮崎、 鹿児島)の6月の
ひなえ付け羽数は、 岩手は751万羽、 宮崎が922万羽、 鹿児島が943万羽とい
ずれも前年同月を下回った (それぞれ、 ▲12.6%、▲3.6%、▲0.6%)。 

6月の輸入量  過去最高を記録
 6月の輸入量は、 5万2千421トンと前年同月を大幅に上回り、 過去最高を
記録した(28.8%、 図3)。 
 
  国別に見ると、 主要4カ国の中国、 タイ、 米国、 ブラジルの中で、 中国が
引き続き前年を大幅に上回っている(126.7%)。 今年3月以降、 中国からの輸
入量は1本調子で増え続けており、 月間輸入量では2万3千556トンと3月か
ら4ヵ月連続で過去最高記録を更新し、 シェアも 44.9%と伸びた。 このうち、
チルドの輸入量は505トンと数量は少ないものの (中国からの輸入量の2.1%)、 
依然として増勢は続き、 前年比では概ね4倍から6倍で推移している。
 
 6月の家禽肉の調整品 (焼き鳥が中心と見られる。) の輸入量は、 3千971ト
ンと前年同月を大幅に上回った (46.2%、 図4)。 全体の輸入量の大部分を占
める主要3カ国は、 タイが1千873トン、 中国が1千462トン、アメリカが450
トンと、 いずれも大幅に増加した(それぞれ、 22.5%、117.9%、 29.0%)。

 
6月の推定出回り量 前年同月をやや上回る 

 6月の推定出回り量は、 14万7千362トンと前年同月をやや上回った(4.8%、 
図5)。 内訳を見ると、 輸入品は4万2千106トンと前年同月を大幅に上回った
が (17.7%)、 国産品は10万5千256トンと前年並みとなった。 (0.5%) 

 


6月の推定期末在庫量 輸入品が大幅に増加し11万トンを越える
 6月末の推定期末在庫量は、 11万2千934トンと前年同月を大幅に上回った
(39.9%、 図6)。 内訳を見ると、 輸入品は、 期首在庫が高水準だったことに
加え、 出回り量の増加を上回る輸入量の増加により、 9万7千927トンと前年
同月を大幅に上回った(47.9%)。 国産品在庫も、 出回り量を上回る生産量の
増加により、 1万5千7トンと前年同月をやや上回った(3.3%)。 

 


6月の国産鶏肉の卸売価格 前年同月をかなり下回る

  6月のもも肉、 むね肉の卸売価格 (東京・平均)は、 それぞれ、 464円/kg
、 233円/kgと、 それぞれ前年同月をかなりまたは大幅に下回った(▲9.4、 ▲
25.1%、 図7)。 
 
  7月の卸売価格は、 堅調に推移し、 月末はもも肉が491円/kg、 むね肉が272
円/kgとなった (農林水産省 「畜産物市況速報」)。 


7月の輸入鶏肉の卸売価格 中国産もも肉下げる
  6月の輸入鶏肉の卸売価格 (関東) は、 中国産のもも肉が375円/kgと前年
同月をやや上回った(3.0%)。 一方、 タイ産のもも肉は378円/kgと前年同月
をかなり下回った(▲6.9%)。 
 
  7月の価格は、 中国産のもも肉が355円/kgと6月より20円下げ、 前年同月
をわずかに下回った (▲1.7%)。 タイ産もも肉は375円/kgと前年同月をやや
下回った(▲5.1%)。 

 
 今月のトピックス
 畜産振興事業団が (社) 中央畜産会に委託して行った、 地域の産地銘柄化食
肉・鶏卵、 産直や手作りハム等の加工品製造販売状況についての調査では、 34
都道府県80銘柄の鶏肉が紹介されている。 それぞれに特徴があり、 歯ごたえや
味を追求したもの、 低脂肪や高DHAをうたい文句にしたもの、 放し飼いにより
自然、 健康、 安全を訴えたものなど、 バラエティーに富んでいる。 大量生産型
の一般のブロイラーに比べて、 コストが高いという難点はあるが、 それぞれの
特徴を生かし、 より高品質のものを供給することによって、 ファンを増やして
いる。 今後に期待したい。


 〔 牛乳・乳製品 〕 

6月の生乳生産量  前年同月をやや下回る
 6月の生乳生産量は、 70万7千31トンと前年同月をやや下回った(▲4.3%)。 
北海道、 都府県別にみると、 北海道はわずかに、 都府県はやや前年同月を下回
った (それぞれ▲2.1%、 ▲5.8%)。 これらの要因として、 昨年の猛暑による
種付けの遅れや乳牛頭数の減少等により、 乳量の回復が進んでいないことがあ
げられる。 また、 1日当たりの生乳生産量の推移を季節調整済み値でみると、 
5年春以降、 ゆるやかに減少している (図1)。 
  
6月の飲用向け処理量 空梅雨だった昨年をやや下回る
 6月の飲用牛乳等向け処理量は、 昨年が空梅雨だったのに比べ、 今年は順調
に梅雨入りしたことから、 44万2千164トンと前年同月をやや下回った(▲4.7
%)。 また、 1日当たりの処理量の推移を季節調整済み値でみると、 6年秋以
降は減少傾向にある (図2)。
 
 6月の乳製品向け処理量は、 飲用牛乳等向け処理量が前年を下回ったものの、 
生乳生産量が減少したことから25万4千31トンと前年同月をやや下回った(▲
3.1%)。
 


6月の脱脂粉乳価格 引き続き高値 

 6月のバターの生産量は、 6千786トン (▲6.6%、 図3) と前年同月をかな
りの程度下回り、 また、 脱脂粉乳も1万6千318トン (▲2.2%、 図4) と前年
同月をやや下回った。 
 
 6月のバターの大口需要者価格は、 8カ月連続で950円/kgと底保合が続いて
いる (▲0.9%) が、 脱脂粉乳は、 1万3千562円/25kgと前年同月をやや上回
り(2.9%)、 安定指標価格に対しても5.6%上回った。 
 
  
 今月のトピックス
気になる夏の天候
 事業団は、 7月28日に主要乳業メーカーと牛乳・乳製品需給動向について意
見交換を行った。 要点は以下のとおり。 
 
 4〜6月は、 天候不順による低温と長雨が続いたため、 飲用牛乳等の需要が
好天続きの昨年に比べて落ち込んだ。 しかし、 7月の梅雨明け以降、 真夏日が
続いていることから、 飲用関係の消費の回復が期待できる。 
 
 また、 脱脂粉乳は、 4〜6月が乳飲料等向け需要が落ち込んで、 荷動きは弱
かったものの、 脱脂粉乳の生産が前年を下回っていることから、 需要をまかな
うために事業団の放出に頼っている状況。 暑い夏がこのまま続けば、 追加輸入
が必要となる事態も考えられるという意見が多かった。 
 
 一方、 バターは、 製菓向けを中心に需要が堅調に推移していることと生産が
減少していることから、 在庫は減少してきており、 生乳生産の回復が遅れるな
らば、 これから年末にかけて需要期に入るので今年度末の在庫は、 適正水準に
近づくと見ているようだ。

〔  鶏  卵  〕 

6月の主要5都市の総入荷量  前年同月をやや下回る

  主要5都市 (札幌、 東京、 名古屋、 大阪、 福岡) の総入荷量は、 3万3千
754トンと前年同月をやや下回った (▲4.0%、 図1)。 
 6月の採卵用めすのひなえ付け羽数は、 837万2千羽と前年同月をかなり下
回った(▲8.6%)。 4〜6月累計の同羽数の前年比は96.5%と、 6年度の前年
比96.9%をもわずかに下回っており、 引き続き卵価低迷の影響が出ている。 

 また、 農林水産省統計情報部の聞き取り (7月上旬) による採卵用めすのひ
なの出荷計画によると、 出荷の見通しは、 前年同月に比べ7月が96%、 8月が
101%、 9月が98%である。 


6月の輸入量  引き続き前年同月を大幅に上回る
 6月の鳥卵類の輸入量 (殻付き換算) は、 4千788トンと円高等を背景に引
き続き前年同月を大幅に上回った (24. 0%、 図2)。 品目別にみると、 卵黄
(粉以外のもの) が1千289トン(16.6%)、 卵白が1千100トン (13.6%) と
前年同月を大幅に又はかなり上回った。 

6月の卸売価格  前年同月をかなり上回る
 6月の卸売価格(東京、 全規格平均)は、 153円/kgと引き続き前年同月をか
なり上回った(10.1%、 図3) が、 これは前年が130円/kg台の安値で推移し
ていたためで、 依然として卵価は2月以降下げ続けている。 
 
  一方、 最近の鶏卵の家計消費をみると、 猛暑等で消費が減退した前年と同水
準で推移している。 
 今月のトピックス
採卵鶏経営の所得は引き続きマイナス 
  農林水産省統計情報部が7月28日に公表した平成6年鶏卵生産費 (調査期間
 :平成5年8月〜平成6年7月) によると、 産卵鶏100羽当たり全算入生産費
 (生産費 [副産物価額差引] に支払利子・地代、 自己資本利子、 自作地地代
を加えたもの)は、 27万2千172円で前年に比べ3.6%減少した。 これは、飼料
費の9割強を占める配合飼料の価格が低下したことで、 飼料費が5.6%減少し
たことの影響が大きい。 しかし、 鶏卵価格の下落により、 産卵鶏100羽当たり
粗収益は、 23万148円と前年に比べ4.6%減少し、 同所得は、 7千577円のマイ
ナスとなった。 同所得を飼養羽数規模別にみると、 5,000〜9,999羽が2万3
千644円のプラス、 10,000羽以上が1万4千607円のマイナスで、 規模が大き
いほど卵価低迷の影響は大きい。

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