◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

ETで高品質牛乳生産を目指す

(岩手県 及川 博正)

  岩手県南部の中山間地域に位置する千厩町は、 ETを利用して収益性の高
い酪農の確立を目指している。 

 町は、 担い手の育成、 高品質牛乳の生産を推進するため、 町単独事業で 「
ET対応外国産乳用牛確保対策事業」 を平成3年度に創設した。 この事業で
は、 米国からホルスタイン種の供卵牛10頭を導入し、 平成6年には日本で最
初に凍結受精卵9個を輸入した。 また、 JAの獣医師や酪農家の担い手を海
外研修に派遣するなど、 先進技術の積極的な導入により酪農振興を行ってい
る。 
 
  当初、 ET産子に対する酪農家の評価は低く、 普及に苦労したこともある
が、 ET産子が県の畜産共進会で上位に入賞したのをきっかけに、 ET技術
に対する酪農家の認識が高まった。 現在、 町内の酪農家120戸の搾乳牛の約
1割にET技術が応用され、 受胎率も56%まで向上し、 効率的に牛群の整備
が進められている。 

 さらに、 本年度から新たに、 乳成分中のタンパク質生産に優れた遺伝能力
をもつ受精卵の輸入も予定されており、 関係者一丸となって高品質牛乳の生
産による酪農経営の安定向上に取り組んでいる。 
 

 
    

元のページに戻る