◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

養鶏での微生物資材の使用について

(愛媛県 渡部 憲二)

  私は、 愛媛県越智郡で7万羽のブロイラーを飼養する養鶏農家である。 平
成4年10月に香川県高松市が微生物資材を使用した農業を進めているとの情
報を得て、 早速、 高松市役所を訪問した。 そこで、 微生物資材を牛に使って
いる話を聞き、 鶏に活用してみようと思い、 平成4年11月から使い始めてみ
た。 
 
 微生物資材を使用するまでは出荷体重が平均で3kgに達しなかったが、 使
用後、 一気に3kg以上となった。 これは効果が期待できると思い、 関係書を
読んだり、 講演会、 研修会に出席して、 色々と工夫を重ねた。 現在は7万羽
の鶏に、 年間を通じて毎週300mlの微生物資材を飲水投与し、 飼料には自家
製の微生物資材を1%添加している。 また、 鶏舎内には舎内散布用微生物資
材を毎週坪当たり250〜300gを散布している。 
 
 この結果、 悪臭が大変少なくなるとともに、 ハエの発生も極めて減少して
いる。 一方、 飼養成績では、 出荷率が99%以上、 出荷体重も60日令で3kg以
上の群がボツボツみられる様になった。 また、 格外率が1. 8%位であったも
のが、 0.5%と低下している。 更に、 1羽当たり飼料給与量も200〜300g位改
善されてきた。 その上に、 消毒薬も全く使用せず、 抗生物質の使用も1種類
だけとなっている。 ワクチンについては、 ND (ニューカッスル病)、 IB (伝
染性気管支炎)、 IBD (ガンボロ病) の3種類を使用している。 今後は抗生物
質の使用中止も考えている。 

 全く新しい技術であり、 指導者もいない状態での試みなので、 毎日が不安
の連続であった。 養鶏30年のキャリアの中で、 これ程色々な問題が改善され
た例はなく、 この微生物資材がなければ私の経営は大変であったと思う。 た
だ、 鶏群によっては成績の落ちることがあるので、 この 「ポカ」 の原因究明
と改善を図る必要があると考えている。 
 
    

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