◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

低コストのフリーストール牛舎でゆとりある酪農経営

(愛媛県 小西 和孝)

  愛媛県の南西部、 肱川上流の山間部に、 畜産の盛んな野村町がある。 野村町
の平成5年における農業粗生産額は、 約55億円で畜産部門は60. 3%を占め、 
うち、 酪農は約39. 5%である。 
 
  町の中心部で、 北海道の酪農関係の短大を卒業した和気茂太氏 (44歳) が、 
6人家族で40頭の酪農を営んでいる。 昭和47年に親から相続した時に、 8頭
程度の規模から養蚕飼育場を改造して20頭規模に経営を拡大した。 その後も、 
着実な経営を進め、 平成2年に40頭規模とした。 

 規模拡大と同時に、 ゆとりある酪農をめざすため、 フリーストール牛舎を
計画し、 運動場として使用していた230平方メートルの敷地に380万円を掛け
て鉄骨スレートぶきのものを建てた。 搾乳施設はパーラーにせず従来の連動
スタンチョン10頭分を改善利用することとし、 なるべく建設費を低く抑え、 
誰にでもできるものに工夫した。 
 
  和気さんは、 「最初、 牛がベッドや搾乳室にスムーズに入るか心配してい
たが、 牛の方から流れに乗って移動してくれたのには安心した」 と成果に満
足している。 また、 乳量も伸び、 自由に運動ができることで肢蹄も良くなっ
たし、 発情の発見、 種付等の繁殖成績にも結びついている。 最近の1日1頭
当たりの粗利益も、 2, 000円をクリアーし検定成績でも県平均を全て上回る
など経営の健全さを示している。 
  
  「今後は、 牛群改良に努め、 現在1頭平均8, 400kgの乳量を1万kgにするこ
と、 農協等の指導を受けながら、 従来のたい肥場も有効に利用して、 ふん尿
の土地還元と良質の飼料づくりに努める」 と和気さんは抱負を語っている。 
 
  
    

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