◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

「廃鶏」 を利用したソーセージ

(鹿児島県 本山 夕起子)

  鹿児島県姶良郡牧園町で旅館 「雅叙苑」 を経営する田島健夫さん (49歳)が、
廃鶏や黒豚を原料に添加物を一切使用しないチキンソーセージやハム、 ベーコ
ンを今年4月から作り始めた。 
 
  この旅館はもともと山菜料理で有名であり、 ご主人の自然食品に対する豊富
な知識を生かし、 これまで、 放し飼いで生産される自然鶏卵の全国発送も手掛
けてきている。 今度は、 廃鶏肉をなんとか利用できないかと考えたのが、 チキ
ンソーセージである。 製造法は、 一日塩浸けした廃鶏肉に豚脂と氷を混ぜ、 カ
ッターで裁断、 塩と8種類の香辛料を混ぜて練り上げる。 豚脂が結着剤となり、 
氷が食感を良くする役割も果たす。 ニュージーランド産の羊腸に詰め込み70℃
以下の鍋で15分間ゆでると出来上がり。 味、 香りとも廃鶏肉とは思えないおい
しさである。 
 
  実際に製造に当たっているのは、 ご主人が大学で食品加工を学び、 帯広で添
加物を使用しない加工肉の製造・販売を手がけていたという若い夫婦である。 
神戸出身で大学は北海道、 なぜ鹿児島へ? 「美しい自然と、 なによりも鹿児島
黒豚に魅かれて……」 「300種類以上の加工肉を作れます」 とのこと。 

 現在、 鹿児島黒豚のベーコン、 ロースハム等も作っており、 6月からは旅館
の土産として販売も始めた。 今後は、 黒豚を発酵飼料とさつまいもで肥育した
り、 食肉処理加工施設も整備し、 観光地・霧島のPRになる特産品を生み出し
たいと田島さんは張り切っている。    

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