◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

地域や経営の実態に応じたふん尿処理施設

(北海道 柵木 勝彦)

  家畜ふん尿は、 貴重な有機質資源であり、 たい肥化して有効利用すること
が、 酪農経営にとって重要である。 
 
  近年、 急速な経営規模拡大などにより、 ふん尿の適切な処理利用が困難な
状況が発生している。 特に、 酪農専業地域では、 河川や湖沼の水質汚染が問
題になりつつある。 
 
  乳牛のふん尿は、 水分が多いのでその処理が難しいが、 労働時間の制約も
あってふん尿処理に多くの時間をかけられない状況もある。 このため、 北海
道では平成6年度から、 あまりコストをかけないでふん尿の処理が可能なシ
ステムを普及する 「有機質資源リサイクルモデル実証展示事業」 をスタート。 
地域や経営の実態に応じて、 処理システムの普及浸透を目指している。 
 
  6年度は、 根室・釧路支庁管内の3カ所で事業を実施した。 そのうち別海
町では、 経産牛52頭、 育成牛29頭の酪農家に写真のような鉄骨フレームのた
い肥舎を2棟設置した。 まず、 1棟目へバーンクリーナーでふんを搬出し、 
ここで水分を除去してある程度取り扱いやすいものにする。 次に、 2棟目の
たい肥舎へ切り返しを兼ねて運搬、 たい積し、 たい肥化するシステム。 
 
  たい肥舎の床面には傾斜をつけ、 れき汁 (余剰水分) は地下パイプを通じ
て尿溜にたまる仕組みになっている。 事業費は870万円で、 うち1/2は道費補
助。 
 
  このシステムは、 特殊な機械や技術を用いるものではなく、 ふん尿の雨に
よる流出を防ぎ、 運搬の手間を切り返しと兼ねて行うなど効率的な作業を実
現できる。 北海道ではこうした取り組みを契機として、 今後とも地域の創意
工夫を生かした 「ふん尿有効利用」 の取り組みを支援していきたいと考えて
いる。 

    

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