◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

地域の学習会で乳質改善を

(北海道 渋谷 敦子)

  北海道足寄町の上足寄地域では、 3年前から地区の酪農家全戸が集まり、 
地域ぐるみ・家族ぐるみで乳質改善に取組んでいる。 
 
  平成4年の夏以降、 乳質の低下が続いたので、 最初は3戸で、 平成5年6
月からは地区酪農家11戸全員が乳質改善に取組み始めた。 
 
  まず搾乳作業の実態を把握するため、 作業状況をビデオ撮影。 また、 チェ
ックシートを用い全戸の作業状況を調べ、 その結果をもとに学習会を開いて
関係機関の指導を受けた。 
 
  学習会は経営主だけでなく、 搾乳に携わる家族全員が出席して行われる。 
メーカー等の協力により搾乳システムの点検をし、 機器の整備、 不良部品の
交換、 エアー管洗浄、 ミルク配管強制洗浄等を行った。 乳房炎の原因菌を調
査・把握するため、 バルク乳スクリーニング検査も実施し、 感染牛には素早
く対応している。 
 
  正しい搾乳手順を家族みんなで話し合って学び、 徐々に乳質が改善されて
きた。 また、 搾乳手順が改善されたことで過搾乳もなくなり、 搾乳時間も1
頭当たり2分弱短縮された。 その結果、 乳房炎のカルテ件数も減少し、 全体
に労働時間の短縮にもつながっている。 
 
  北海道では、 平成6年8月に、 生菌数と体細胞数に基づいた乳質評価に移
行した。 上足寄地区は、 最初から全戸が「ランク1」を達成し現在も継続中。 
この間の乳質改善による経済効果は、 1戸当たり平均 330千円と試算されて
いる。 
  
  学習会では、 良質粗飼料の確保、 適正な飼料給与等を学び始め、 今後は、 
さらに乳量の増加と乳成分の向上を目指していく。
  
    

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