◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

「南部かしわ」 を 「金の鳥」 に

(岩手県 昆野 善孝)

  岩手県北部に位置し標高250〜450メートルの山間地にある山形村では、 平
成元年から 「南部かしわ」 を東京の消費者グループ 「大地の会」 に産直販売
している。 これまで、 同村は、 地域内一貫生産した日本短角牛の産直販売も
行っており、 地域の資源を活用した活性化がねらいである。 
 
  南部かしわは、 昭和60年に岩手県畜産試験場が 「軍鶏」 をベースに開発し
た特殊鶏で、 放し飼いと長期飼育による 「土の香り」 のする本格的 「かしわ
の味」 がセールスポイント。 
 
  「南部かしわ」の飼育は、 山形村の特色である日本短角牛の牛舎や雨よけほ
うれん草のビニールハウスを利用して高齢者によって行われている。 牛舎利
用の場合は、 日本短角牛が放牧された5月に、 ビニールハウス利用の場合は、 
ほうれん草の収穫を終えた8月にヒナを導入する。 雄鳥は90日齢 (平均体重
2.7kg)、 雌鳥は120日齢 (平均体重2.2kg)で年間1万羽ほど産直出荷してい
る。 1羽1, 400円で販売し、 農家の手取額は1羽500円となっている。 
 
  現在、 村内に農畜産物加工施設を建設し、 南部かしわや日本短角牛肉を利
用した地域特産品開発を計画し、 新たな販路拡大を模索している。 
 
  南部かしわは、 農家の所得を向上させるとともに、 高齢者対策、 地域活性
化に役立つことから、 「南部かしわ」 が山形村の 「金の鳥」 になる日が待た
れる。 
  
   

元のページに戻る