◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

樹木による畜舎の悪臭防止

(群馬県 高橋 朋子)

  新旧住民の混住化や中山間地域でのリゾート化が進む中で、 畜舎からの
悪臭が問題となっている。 畜舎から発生する悪臭を外部へ拡散させない一つ
の方法として、 畜舎周囲の生垣がある。 
 
  このたび群馬県畜産試験場では下表の樹木について悪臭防止効果を検討し
た。


樹木の特性
樹木名 成長度 萌芽性 耐陰性 せん定頻度 病害虫 価格
千円/10m
ツゲ 15 定期的 50
サンゴジュ 30 適宜 40
サザンカ 15 適宜 46
キンマサキ 60 定期的 20
キンモクセイ 15 定期的 46
カナメモテ 30 定期的 50
ニオイヒバ 15 適宜 60
チャボヒバ 30 適宜 90
 悪臭の除去は、 葉への吸着が主なものであり、 葉面積当たりの吸着が多く
なればなるほど効果がある。 しかし、 樹木の葉は、 吸着能力の許す限り悪臭
を吸着するため、 強い悪臭の場合には、 葉自体が枯れるなどの被害が出るこ
ともある。  実際に生垣を作る場合は、 悪臭防止効果が高く、 生育が早く、 
萌芽力が強く、 管理が容易で、 値段が安いことから、 サザンカ、 サンゴジュ
が適当と考えられていた。 今後、 畜舎周辺の生垣を作る場合には、 これらの
樹木を利用することにより、 悪臭防止が可能であろう。 
 
 なお、 樹木は精神的な面で、 畜舎や家畜が直接見えなくなる遮へいの効果
、 羽毛や粉塵をとどめる効果、 また緑の効果として、 潤いや安らぎを与え、 
畜産農家と一般住宅、 リゾート地との緩衝体としての役割も担っている。 
 
 一方、 畜産農家側からは、 塀やフェンスと異なり、 畜舎の通気性が保てる
といった利点があるが、 生垣では樹木のせん定、 消毒などの維持管理が重要
となっている。 
   
    

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