◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

後継者の育成を学校に求める試み

(鳥取県 浜本 昭臣)

  後継者不足と言われるようになって久しく、 その対策事業も色々と行われ
ている。 
 
  (社)鳥取県畜産会でも通信教育・スクーリング、 グループ育成等で後継
者の養成を図っているが、 上は何才までを対象にするのかと言った話題がで
るくらい深刻な問題となっている。 
 
  そこで昨年度、 初の試みとして、 農業高校生を対象に研修会を実施した。 
これが大変好評で、 次年度からは年2回以上、 より充実した研修で続けてほ
しい旨の要望が強かった。 研修レポートをまとめてみると、 大半の生徒が先
輩の苦労話、 将来計画等を聞き、 いきいきとしたその言動に身近に接し、 勇
気がわいてきたなどの感想が多く、 研修会は成功であった。 
 
 しかし、 これは一応進路が決まった生徒であって、 その以前のこれからど
の方向に進もうかと思案している生徒、 つまり中学生以下にも同様の研修会
を試みてみたいと思い、 1〜2の中学校に出向いて理解を得ようとしたが、 
事業そのものには理解を得ても、 実際参加するとなると幾つもの問題があり
実現には難しい。 
 
 農業地帯の中学校では、 農業体験学習を学校行事として行っている所もあ
る。 また、 小学校では、 家畜の飼育を行っている所もある。 本県では、 先に
本誌に掲載された泊小学校で乳牛を飼育しており、 県畜産共進会に特別参加
もした。 
 
 この時も、 当日が土曜日であったことから、 授業が半日つぶれてしまった。 
幸い村の教育委員会、 校長先生をはじめとする諸先生の温かい理解があって
実現できたが、 この振替授業が大変であり賛否両論があった。 
 
 中学校も同様、 今のカリキュラムでは、 なかなか入りこむ余地が無く、 ま
して週5日制が進めば進む程 「ゆとり教育」 とはますますかけ離れていく。 

 後継者の養成は、 父母は無論のこと、 行政はじめ関係機関が一体となって
取り組むことは当然であるが、 乳幼児が離乳食によって好き嫌いができると
いわれている様に、 少年期に経験、 体験したふる里の思い出は、 一生忘れる
ことなく心に焼きついていくものだと思う。 

 たとえ後継者とならなくても、 消費者にはなるのであるから、 畜産・畜産
物への理解を得るためにも21世紀には、 これらゆとりある教育で農業体験等
ができる教育を、 畜産関係者も強く働きかけ指導援助していきたいものであ
る。 

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