◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

和子牛産地の復活に向けて新たな息吹き誕生

(鳥取県 高見 尚文)

  鳥取県西部中山間地域の日野郡4町は、 古くから黒毛和牛の子取り産地と
して有名で、 現在でも全国に素牛を多数出荷している。 
 
  早熟早肥と飼い易さで名を馳せた因伯牛も、 肉質重視の時代に代わってき
てからは、 その伝統的な血統を維持しながら、 但馬系など県外の血統を導入
するなど、 新たな生き残りの道を歩んでいる。 また、 肉質重視の和子牛の生
産に努めるとともに肥育部門の拡充を図り、 和牛肉の産地としての構造転換
を推進している。
 
 平成6年9月の時点では、 日野郡には和牛農家617戸に1,639頭飼養されて
いる。 営農意欲の高い農家の間で、 これからの和牛経営は肥育に対する取組
み、 さらには従来の繁殖に肥育を取り入れた経営への移行が必要であるとの
考え方が大勢を占めるに至った。
 
 そこで郡内の和牛農家8人が発起人となり、 肥育研究会の設立に向けて何
回となく協議が重ねられた結果、 7年7月下旬、 県日野総合事務所において
会員22名中16名が出席し、 設立総会が開催された。
 
 研究会の名称は未来を模索し、 開拓するという思いを込めて 「パイオニア
21肥育研究会」 とした。
 
 会長に就任した大下宏さん (57才、 日野町根雨、 成牛25頭、 育成牛・子牛
15頭) は今後の抱負を 「私達は肥育牛農家の巡回と検討、 育種価を活用した
肥育技術と経営に重点を置いて活動していきたい。」 と語っていた。
 
 今後は研修会、 視察、 相互の情報交換等を計画する一方で、 日常の会員同
志の交流や研鑚を大切にさらに和牛産地の復活に意欲を燃やしている。 

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