◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

良質有機たい肥 「できるん土 (ど) 」 で町の活性化          

(愛媛県 渡部 孝義)

  愛媛県の西南に位置する畜産の町、 東宇和郡野村町に 「野村町堆肥センタ
ー」 が完成、 5月16日に落成式が行われ、 本格的に稼働している。 
 
  同町では農林業の振興を町づくりの柱として経済の活性化を図っており、 
特に畜産においては、 酪農を筆頭に、 肉用牛、 豚等の飼育が非常に盛んであ
り、 平成5年の畜産粗生産額は33億3千万円で、 農業全体の61%を占め、 愛
媛県の畜産基幹地として名をはせている。 
 
  同町では畜産が今後の国際競争にも打ち勝つことのできる環境づくりのた
めの推進施設として、 平成6年10月 「野村町畜産総合振興センター」 を整備。 
更に今回畜産農家のふん尿処理対策と葉タバコやキュウリなど耕種農家への
良質たい肥供給を目的に、 平成6年度畜産活性化総合対策事業 (環境保全型
畜産確立対策事業) により、 総事業費1億5,380万円で、 原料槽や発酵槽、 
管理棟など総面積1,850m2、 たい肥製造機や袋詰め装置等を備えた近代的な
たい肥センターを整備した。 

 センターの特徴の一つは、 たい積切り返しによる発酵処理方式にある。 畜
産農家40戸から搬入された原料家畜ふん尿を、 まず原料槽で水分調整したの
ち、 たい肥製造機に投入して粉砕するとともに、 たい積発酵期間の短縮を図
る発酵促進剤を散布する。 この工程を7日〜10日おきに5回繰り返すと45日
〜60日間で無臭でサラサラした良質の完熟有機たい肥 「できるん土 (ど) 」 
が完成する。 「できるん土 (ど) 」 は 「できるんです」 という意味の愛媛県
の方言を掛けたネーミングである。 

 原料の家畜ふん尿は年間6,500トンを有料受け入れし、 3,000トン程度の良
質たい肥製造を計画しており、 葉タバコや野菜栽培の43.6ヘクタールと水稲
などの27.5ヘクタールに供給することとしている。 

 運営は、 町から委託を受けた 「JAのむら」が、 町やJA・畜産農家・葉タバ
コやキュウリなど耕種農家等の代表者で構成するセンター運営委員会」 の要
望や意見を反映しつつ、 管理から製造・供給までの作業を一貫して行う。 

 同町並びにJAのむらでは、 このたい肥センターが畜産農家のふん尿処理対
策のみならず、 生産された良質たい肥 「できるん土 (ど) 」 が耕種農家の土
づくりに大いに役立ち、 町内農林業の活性化に貢献できるものと大いに期待
を寄せている。 
    

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