◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

知的障害者施設での放飼養鶏

(愛媛県 小西 和孝)

  愛媛県南西部、 東宇和郡野村町は県下でトップの畜産地域である。 畜種別
の飼養頭数は乳牛3,700頭、 肉用牛3,000頭、 豚8,500頭、 ブロイラー23万羽
だが、 採卵鶏は農家で少数の庭先養鶏がなされている程度である。 野村町内
の人工ダム朝霧湖あさぎりこの湖畔にある知的障害者施設 「野村育成園」 で
は、 約1,000羽の採卵鶏 「イサブラウン」 が放し飼いされている。 
 
  養鶏に取り組むようになった経緯は、 建設関係の仕事で野村町に長期滞在
していた藤井美子氏 (53才) が、 自然食品の良さに着目し、 約10アールの
畑を利用して鶏を飼っていたが、 昭和60年転勤により、 この施設に寄付を申
し出たことに始まる。 そこで、 施設内に簡易鶏舎を建て、 園生の 「働く喜び
と自立心の向上」、 「心身及び情緒の安定」、 「人間関係の育成」 に役立てるこ
ととした。 

 生産された卵は松山市、 八幡浜市、 宇和島市のスーパーに販売を委託し、 
破卵については、 卵油などに加工するなどして利用価値を高めている。 消費
者には施設で作られた 「放飼鶏による自然食品」 として好評を得ている。 

 生産額も年間500万円程度で、 この2〜3年は約100万円前後の収益を上げ
ている。 

 今後は、 数量にも限度があること、 また作業的に重労働ではないことから
健康と実益を兼ねた放飼養鶏として引き続き推進していく考えである。 
    

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