◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

ET車で農家で採卵

(熊本県 市原 亜素男)

  熊本県では、 家畜改良のスピードアップを図るため、 ET技術の活用と普及
を積極的に推進している。 推進体制として、 県と各地域に受精卵移植推進協
議会を設置するとともに、  (社) 熊本県畜産開発公社が管理・運営する西原
公共育成牧場内に受精卵供給センターを設置し、 供卵牛の飼養、 受精卵の採
取・供給、 育成牛・預託牛への受精卵移植を実施している。
 
 受精卵供給センターによる受精卵の供給は平成2年11月から始まったが、 
その後受精卵の需要が多くなり供給不足の状態が続いていた。 そこで、 平成
6年度の家畜改良施設整備事業によりET (ワンボックスワゴン) を導入し、 
農家現場における採卵を積極的に進めることにより、 採卵数の増加と優良な
受精卵を低価格で供給できる体制を整備した。
 
 ET車は、 プログラムフリーザー、 実体顕微鏡、 自動還流装置、 凍結保管器
、 倒立顕微鏡セット、 発電機、 記録計等を装備している。 現場では、 獣医師
1名と受精卵移植師1名がチームを編成して採卵に当たり、 ET車で年間約200
頭の採卵を計画している。 
 
  供卵牛の選定は、 肉用牛については県農業研究センターで開発した肉用牛
改良情報システムの繁殖雌牛情報から、 乳用牛は牛群検定における個体情報
から、 地域別に候補牛を選定し計画的に採卵することとしている。 

 ET車の活用で、 ET技術の活用と普及に一段とはずみがつくことが期待され
る。  
    

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