◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

米国の乳用牛受精卵で牛群改良を

(鹿児島県 畑添 至)

  鹿児島県の乳用牛改良の 「切り札」 として期待される輸入受精卵42個が7
月中旬、 米国から到着した。 県が向こう6年間にわたって米国・カナダから
継続的に導入する受精卵の第1号である。 
 
  県では、 2001年以降に予想される乳製品分野での新たな展開に備え、 これ
まで以上に乳用牛群の改良を促進し、 酪農経営の基盤強化を図ることとした。 
そこで、 世界のトップレベルにある米国・カナダの優良乳用牛の受精卵を輸
入し、 県営大口育成牧場の育成技術と受精卵移植技術により泌乳量が多く、 
高蛋白質乳を生産する乳用牛群を増殖する計画である。 
 
  今回輸入した受精卵の供卵牛9頭は、 いずれもCTPI (米国の経産牛総合能
力指数) 順位が高水準なもので、 その平均能力 (305日検定成績) は乳量
14,224kg、 乳脂率4.1%、 乳蛋白質率3.4%であり、 乳量については県平均
 (7,692kg) の約2倍である。 購入価格は1個当たり平均273千円であった。 
 
  今年12月から大口育成牧場の育成牛に移植を開始し、 妊娠6〜7か月で酪
農家に払い下げ、 来年9月以降に産子が誕生する予定である。 雌子牛が生ま
れた場合は県が買い上げ、 大口育成牧場で育成、 採卵した後再び酪農家に払
い下げる。 採卵、 移植、 払い下げを繰り返し県内乳用牛群の能力アップを進
めることとしている。 

 鹿児島県では、 今後6年間に毎年40個程度の受精卵を輸入し、 受胎率60%
を目標に、 夏場の受胎率・泌乳量向上対策とも組み合わせ、 県平均乳量9,000
kgを目指すこととしている。 
 
    

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