最近の畜産物の需給動向

  
 国内の主要畜産物の短期需給動向を毎月トレースします。 
・原データは、 巻末の参考資料を御参照願います。 
・( ) 内数値は、 対前年増減率です。
・季節調整は、 米国商務省のセンサス局法 (X−11) によっています。  
・牛肉及び豚肉の数量は、部分肉ベースです。

                                 乳業部、食肉生産流通部、企画情報部

8月の需要概要
  生産量
(トン)
輸入量
(トン)
推定出回り量
(トン)
推定期末在庫量
(トン)
国産卸売価格
(円/kg)
牛肉 33,685
(▲3.0%)
60,308
(21.8%)
91,293
(1.6%)
94,304
(6.7%)
977
(▲2.5%、東京・省令)
豚肉 68,965
(▲7.0%)
53,169
(18.4%)
118,357
(▲2.5%)
101,712
(11.8%)
524
(▲8.6%、東京・省令)
鶏肉 97,295
(1.2%)
47,011
(7.8%)
141,141
(2.0%)
123,385
(50.2%)
489
(▲4.3%、東京・平均)
  生乳生産量
(トン)
飲用牛乳等
向け処理量
(トン)
バター 脱脂粉乳
生産量
(トン)
大口需要者向け価格(円/kg) 生産量
(トン)
大口需要者向け価格(円/25kg)

牛乳・乳製品

688,372
(▲1.1%)
440,025
(▲3.4%)
5,777
(15.1%)
950
(▲0.4%)
14,118
(7.2%)
13,567
(2.2%)
  4〜6月期生産量
(トン)
7月輸入量
(トン)
4〜6月期推定出回り量
(トン)
7月国産卸売価格
(円/kg)

鶏卵

649,203
(▲2.4%)
8,454
(18.0%)
678,952
(▲1.3%)
157
(0.6%、東京・全規格平均)
(注)( )内は対前年増減率

 

〔  牛  肉  〕
8月の生産量 前年同月をやや下回る  

  8月の生産量は、 3万3千685トン(▲3.0%)と前年同月をやや下回った (図1)。 
 
 和牛は、 めす牛が前年同月並みであったものの(0.2%)、去勢牛がと畜頭数の減少
からわずかに下回ったため(▲2.6%)、 合計では1万3千498トン(▲1.4%)と前年
同月をわずかに下回った。 
 
 乳牛は、 乳用肥育おす牛が前年同月をわずかに上回ったものの(1.5%)、めす牛が
と畜頭数の減少からかなり下回ったため(▲8.5%)、 合計では1万9千516トン(▲
3.1%)とやや下回った。 

 乳用めす牛のと畜頭数は、 経産牛飼養頭数が減少している中で、 今年度の生乳の
計画生産目標が対前年度比102.8%に設定され、 搾乳牛の供用期間が伸びていると
みられることなどから、 前年同期に比べてかなり減少(4〜8月累計▲8.6%)して
いる。 


8月の輸入量 米・豪のシェア逆転 

 8月の輸入量は、 6万308トン (21.8%) と前年同月をかなり大きく上回った(図
2)。 
 
 米国産は、 冷蔵品がステーキ用の 「ロイン」を中心に増勢が止まらず、 また、 冷
凍品も輸入が増え、 合計で2万9千83トン(35.1%)と前年同月を大幅に上回った。 
一方、 豪州産は、 冷凍品が関税引き上げ前の駆け込み輸入で急増した7月の反動な
どから、 前年同月をわずかに上回る水準で落ちつき(2.2%)合計でも2万7千270ト
ン(4.5%)と単月では初めて、 米・豪のシェアが逆転した。 
 
 冷蔵品の輸入量(SG算定ベース)は、 3万4千919トンで、 4月からの累計輸入
量は16万491トンとなった。この結果、 第2四半期のトリガーレベル19万5千772ト
ンとの差は3万5千281トンとなっている。 冷凍品は8月からセーフガードが発動
され、 関税率は50%に引上げられている。 
 
 事業団の品目別輸入動向調査によると、 9月の輸入数量は5万8千トン(冷蔵品
3万2千トン、 冷凍品2万6千トン)、 10月は5万8千トン (冷蔵品3万2千トン
、 冷凍品2万6千トン)、 11月は冷蔵品は10月に比べやや増加し、 冷凍品はやや減
少するものと見込まれる。 


8月の推定出回り量 前年同月をわずかに上回る 

 8月の推定出回り量は、 国産品がやや前年同月を下回ったものの、 輸入品が輸入
量の増加を受けてやや上回ったため、 合計では9万1千293トン(1.6%) とわずか
に上回った。
 
 8月の推定期末在庫量は、 国産品が前年同月をわずかに下回ったものの、 輸入品
がかなり上回ったため、 合計では9万4千304トン(6.7%)とかなり上回った。
  

8月の国産枝肉卸売価格  総じて前年同月を下回る

 
 8月の省令価格 (東京市場) は、 977円/kg (▲2.5%) と前年同月をわずかに
下回った(図4)。 去勢和牛のA5は2,453円/kg (▲7.6%) と前年同月をかな
り下回り、 A3は1,458円/kg (▲0.9%)と前年同月並みとなった (図5)。 
 
 乳用種去勢牛のB2は競合する輸入牛肉の出回り量が大幅に増加し、 かつ、 価格
が大きく低下していることから、 576円/kg(▲13.9%)とかなり大きく前年同月を
下回った。 一方、 交雑種去勢牛 (F1)のB3は1,192円/kg(5.3%) と前年同月
をやや上回った。 
 
 9月の省令価格 (速報値・瑕疵ある枝肉を除く。) は、 1,028円/kgであった。 


8月の輸入牛肉仲間相場 引き続き好調な北米産チャックリブ

 8月の豪州産牛肉の仲間相場は、 主要品目の冷蔵品 「グラスフェッド・フルセッ
ト」 が供給過剰感から494円/kg (▲19.0%)と3カ月連続で500円を割った。 6月
に721円/kgであった冷蔵品 「ショートグレインフェッド・フルセット」 も607円
(▲11.6%)とかなり値を下げている。 
 
 北米産牛肉は、 「チャックリブ」 が、 好調な焼き肉需要を反映して、 冷凍品1,122
円/kg (56.4%)、 冷蔵品1,276円/kg(101.4%)と、 輸入牛肉のほとんどの品目が
大きく値を下げる中で、 値を上げている。 

〔  肉 用 子 牛  〕
8月の黒毛和種の価格  前年同月をかなり大きく上回る 

 8月の黒毛和種の取引は、 頭数が2万308頭 (▲1.5%) と前年同月をわずかに下
回った。 価格(おす・めす平均) は、 35万7千円 (19.4%)と30万円を割っていた前
年同月をかなり大きく上回った (図7)。 
 
 9月の主要市場の取引価格は、 岩手県中央家畜市場39万6千円 (24.5%)、宮崎県
都城地域家畜市場40万1千円 (8.1%)、 鹿児島県曽於郡中央家畜市場34万9千円 (
2.3%) といずれも前年同月を上回った。 
8月の乳用種の価格  前年同月をかなり上回る
 8月のホルスタイン種の取引価格 (おす・めす平均) は5万8千円(9.4%)と前年
同月をかなり上回った(図8)。 また、 乳用種ヌレ子の取引価格は、 3万3千円(▲23.3
%)と引き続き前年同月を大幅に下回った。 
 
 今月のトピックス
消費構成割合はその他仕向が48%とトップ
 平成6年の牛肉の消費構成割合 (農林水産省畜産局食肉鶏卵課推計)は、家計消費が2
ポイント低下し44%に、 逆に外食、 業務用等の 「その他仕向」が2ポイント上昇し48%
となっている。 加工仕向は8%で変化していない。 
 
  「その他仕向」 の割合の変化を昭和50年と比べてみると、 牛肉が2.8倍と大きく伸び
ているのに比べて豚肉と鶏肉はそれぞれ1.4倍、 1.3倍となっている。 食の外部化、 サー
ビス化の進展に、 安価な輸入牛肉の出回りが相まった結果といえよう。


〔  豚 肉  〕
8月の生産量 前年をかなり下回る 

  8月の国内生産は、 長期的な母豚の飼養頭数の減少等により、 と畜頭数は134万8千
頭と前年同月をかなり下回った(▲8.6%、 図1)。 生産量は、 と畜頭数の減少を受けて
、 6万8千965トンと前年をかなり下回った(▲7.0%、 図2)。 平均枝肉重量 (全国平
均) は、 梅雨明け以降の猛暑により飼料摂取量が減少したこと等から、 73.1kgと、 前
月を下回ったものの、 空梅雨で早くから熱暑で生産性が低下した前年を、 わずかながら
上回った(1.7%)。 
 
  9月のと畜頭数 (速報値) は、 140万5千頭と前年同月をかなり下回り(▲6.5%)、 
6年6月から16カ月連続して前年を下回ることとなった。 



8月の輸入量 依然5万トン台の高い水準
 8月の輸入量は、5万3千169トンと前年同月を大幅に上回った(18.4%、 図3)。冷蔵
品は、 6年8月以降13カ月にわたり、 2桁の伸びを示しており、国内生産量の減少もあ
って、 8月も1万8千19トンと大幅に前年を上回った(40.1%、 図4)。 特にアメリカ
からの輸入の伸びがめざましく、 前年同月を大幅に上回り(85.4%)、 台湾を抜いて冷
蔵品のシェアでトップに立った。 

 一方、 冷凍品は、 加工仕向けの需要が増加していると見られることから、3万5千80
トンと前年同月をかなり上回った (9.4%)。
 
 加工品等を含むセーフガード (SG) 対象品目の8月の輸入量は5万3千328トンとな
り、 7年4月からの累計では25万4千659トンとなった。 この結果、 第2四半期のトリ
ガーレベル28万6千215トンとの差は3万1千556トンとなった。
 

 
8月の推定出回り量 前年をわずかに下回る
 8月の推定出回り量は、 梅雨明け後、 一転した猛暑による消費の減退等から、 11万
8千357トンと前年同月をわずかに下回った(▲2.5%、 図5)。 国産品は6万9千761
トンと生産量の減少を受けて、 前年をかなり下回った(▲7.0%)。 一方、 輸入品は生
産量の減少を補うように、 前年同月を大きく上回って推移してきたが、 8月は4万8
千596トンとやや上回る水準にとどまった(4.8%)。 

8月の期末在庫量 過去最高の水準となる

 8月の推定期末在庫量は、 10万1千712トンと、 前年同月をかなり上回り(11.8%、 
図6)、 過去最高の水準となった。 国産品は、 前年同月と比べて、 生産量の減少によ
る、 在庫の取り崩しが続き、 1万3千814トンと前年同月を大幅に下回った (▲27.2
%)。 一方、 輸入品は、 輸入量の増加から、 在庫の積み増しとなり、8万7千898トン
と前年を大幅に上回った(22.1%)。 


8月の国産枝肉価格 前年をかなり下回る

  8月の卸売価格(東京市場・省令) は、 国内生産量がかなり減少したものの、 冷蔵
品の輸入量が大幅に増えたこともあり、 524円/kgと前年同月をかなり下回った (▲
8.6%、 図7)。

 9月の卸売価格も、 出荷頭数が前年同月をかなり下回ると見込まれるものの、8月
末の輸入品の在庫量水準が極端に高い水準にあったこと等から、 市場での荷動きが
悪かったと見られ、 466円 (速報値)と前年をかなり下回った (▲8.8%)。
 
 また、 8月の国産豚肉の仲間相場は、 特に、 加工用仕向の需要が高まっているこ
とから、 うで、 ももが冷蔵、 冷凍いずれも前年を上回ったものの、 その他の部位は
値を下げた。 


8月の輸入豚肉仲間相場 ロイン系、 前年同月をかなり下回る

  8月の冷蔵輸入豚肉の仲間相場は、 輸入量の増加から、 ロースは台湾産が809/
kg、 アメリカ産は678円と前年同月をいずれもかなり大きく下回った(それぞれ、 ▲
13.7%、 ▲15.2%、 図8)。 ヒレも台湾産が1,041円/kg、 アメリカ産は929円と、 
いずれもかなり前年を下回った(それぞれ、 ▲7.7%、 ▲9.2%)。
 
 一方、 冷凍品は、 7月に比べて、 すべての部位が値を上げ、 前年同月と比べても、 
総じて強い相場となった。 特に台湾産は、 ヒレ、 うで、 もも、 いずれも前年を大幅
に上回った (それぞれ23.1%、 25.1%、 34.1%)。
 
 
今月のトピックス
7年度下期の出荷予測も前年割れ 
  農林水産省畜産局は、 7年度下期の豚肉出荷予測を9月29日に公表した。 これに
よると、 上半期の実績は、 かなり、 ないしやや前年を下回って推移し、 下期の予測
についても前年をやや、 ないしわずかに下回ると見られている。 

 最近の生産状況をみると、 一戸当たりの生産規模は拡大を続けているが、 絶対的
な飼養頭数は減少し、 輸入品とのコスト競争はますます激しくなってきている。 

 このため、 生産をとりまく、 1) 規模拡大にともなう環境問題、 2) 後継者問題、 
3)増勢にある輸入豚肉との差別化、 4) 生産資源コストの低減、 5) 流通の合理化、 
等の課題が早期に改善され、 経営体質の強化が図られることが望まれる。 



肉豚生産出荷予測                    (単位:千頭)
7年度 4月 5月 6月 7月 8月

9月
(概数)

10月 11月 12月
(予測)
1月 2月 3月 年度
累計
出荷頭数 1,441 1,439 1,338 1,292 1,348 1,405 1,517 1,610 1,653 1,489 1,416 1,567 17,569
前年比% 92 96 92 93 91 94 96 95 97 99 99 99 95
注:「肉用鶏卵等生産出荷調整事業」実施道府県の調整結果を積み上げ、全国ベースに換算
 

  〔  鶏  肉  〕
 
8月の生産量  前年同月をわずかに上回る

 8月の生産量は、 9万7千295トンと前年同月をわずかに上回った (1.2%、図1)。 
今後の生産指標となる8月のブロイラー用ひなえ付け羽数は、 5千745万羽と前年同
月をわずかに下回った (▲2.0%、 図2)。 農林水産省統計情報部は、 9月、 10月、 
11月のブロイラー用ひな出荷羽数について、 それぞれ前年同月と比べて100%、 94%
、 101%と見ている。 
 
  生産量の約半分を占める主要三県 (岩手、 宮崎、 鹿児島) の8月のひなえ付け羽数
は、 岩手が862万羽 (▲3.7%)、 宮崎が942万羽 (▲4.6%)、 鹿児島が1万98万羽(6.2
%) となった。
8月の輸入量  急増傾向にブレーキ
 8月の輸入量は、 4万7千11トンと前年同月をかなり上回ったものの (7.8%、 図
3)、前月までの急増傾向にブレーキがかかり、 5万トンを下回った。 
 
  国別に見ると、 中国からの輸入量は、 前月までの前年同月比200%台の急増から一
段落して、 1万6千752トン (26.8%)となっている。 一方、 アメリカからの輸入量
は、 1万1千890トン(▲4.9%)となり、 3カ月連続で前年を下回った。 

 8月の家禽肉の調製品 (焼き鳥用串刺しが中心と見られる。) の輸入量は、4千689
トンと引き続き前年同月を大幅に上回った (70.3%、 図4)。 


 8月の推定出回り量  前年同月をわずかに上回る 

 8月の推定出回り量は、 14万1千141トンと前年同月をわずかに上回った(2.0%、 
図5)。 輸入品は4万3千948トンとかなり上回ったものの(6.5%)、 国産品は9万7
千193トンと前年同月並みであった(0.1%)。
 

8月の推定期末在庫量  過去最高を更新
 8月の推定期末在庫量は、 12万3千685トンと先月の過去最高記録を更新し、 前年
同月を大幅に上回った(50.2%、 図6)。 輸入品は、 期首在庫が高水準だったことなど
から、 10万8千729トンと前年同月を大幅に上回り(59.7%)、国産品も、 1万4千956
トンと前年同月をやや上回った(4.8%)。
 

 
8月の国産鶏肉の卸売価格  前年同月を下回る

  8月のもも肉、 むね肉の卸売価格 (東京・平均) は、 それぞれ489円/kg、 264円
/kgと、 前年同月をやや又は大幅に下回った(▲4.3%、 ▲21.0%、 図7)。
 
 9月の卸売価格は、 月末にはもも肉が560円/kg、 むね肉が321円/kgとなった(東
京・中値、 農林水産省 「畜産物市況速報」)。 

 それぞれ462円/kg、 239円/kgと、 前年同月をやや又は大幅に下回った(▲5.7%、
▲26.0%、 図7)。 
 
 

9月の輸入鶏肉の卸売価格  中国産もも肉前月と変わらず
  8月の輸入鶏肉の卸売価格 (関東) は、 中国産もも肉が355円/kgと7月と変わら
ず、 前年同月ではわずかに下回った (▲1.4%)。 タイ産もも肉は375円/kgと前年同
月をかなり下回った (▲6.2%)。
 
 9月の価格は、 中国産もも肉が7月、 8月に引き続き355円/kgで前年同月と比べ
るとわずかに下回った(▲2.2%)。 タイ産もも肉は379円/kgと前年同月をやや下回っ
た(▲4.8%)。 


 今月のトピックス
家禽肉の7年度需給見通しについて 

 9月21日に農林水産省畜産局食肉鶏卵課の主催により、 全国ブロイラー生産出荷調
整協議会が開催され、 「試算」 として、 7年度出荷計画に基づく7年度の需給見通し
が示された。 また、 関係団体から需給動向について次のような意見も出された。 

 生産に関して、 これまでの価格維持のための計画生産は、 輸入を促進している面が
ある。 
  対策として品質向上を図って行きたい。 

 輸入に関して、 今後の輸入量は、 輸出国の国内事情等から今年度末までは月間で4
〜5万トンに落ち着くとみられる。 


7年度出荷計画に基づく7年度需給見通し(試算)
区分 6年度実績(推定) 7年度見通し(試算)
需要量 @家計消費量 557千トン 557千トン
(対前年比100%)
A加工・業務用 1,185千トン 1,185千トン
計@+A 1,742千トン
(対前年比102%)
1,742千トン
(対前年比100%)
供給量 @国内生産量 1,267千トン 1,259千トン
A輸入量 489千トン 540千トン
計@+A 1,756千トン
(対前年比103%)
1,799千トン
(対前年比102.4%)
在庫 83千トン 140千トン
 

 
〔 牛乳・乳製品 〕 

8月の生乳生産量 前年同月をわずかに下回る
 8月の生乳生産量は、 猛暑であったことと、 昨年の猛暑による繁殖成績の低下や
乳牛頭数の減少等により、 68万8千372トンと引き続き前年同月をわずかに下回っ
たが、 前月より減少幅は縮まった(▲1.1%)。 北海道、 都府県別にみると、 北海道
はわずかに前年同月を上回り、 都府県はわずかに前年同月を下回った(それぞれ1.3
%、 ▲2.9%)。 
 
 1日当たりの生乳生産量の推移を季節調整済み値でみると、 5年春以降、 ゆるや
かに減少している(図1)。 
  
8月の飲用向け処理量 前年同月をやや下回る
 8月の飲用牛乳等向け処理量は、 8月が昨年を上回る猛暑となったものの、 前年
ほどの伸びはなく、 44万25トンと前年同月をやや下回った(▲3.4%)。 
 
  1日当たりの処理量の推移を季節調整済み値でみると、 6年秋以降は減少傾向に
ある (図2)。 
 
  飲用牛乳等の生産量を品目別にみると、 牛乳を始め軒並み前年を下回っている中
で、 はっ酵乳だけは一般消費者の健康志向を背景に好調に推移し、 4月を除いて前
年同月を上回って推移している(牛乳▲4.5%、 加工乳▲2.3%、 乳飲料▲3.9%、 
はっ酵乳5.0% (図3)、 乳酸菌飲料▲31.0%)。
 


8月の乳製品向け処理量 前年同月をやや上回る
 

 8月の乳製品向け処理量は、 生乳生産量が減少したものの、 飲用牛乳等向け処理
量も前年同月を下回ったことから、 23万7千463トンとやや上回った(4.0%、 図4
)。 
 
 1日当たりの処理量の推移を季節調整済み値でみると、 5年夏以降減少し、 6年
夏を底にゆるやかに増加している (図4)。 


8月のバター 生産量は前年同月をかなり大きく上回る


 8月のバターの生産量は、 昨年が猛暑により乳製品向け処理量の水準が極めて低
かったこともあり、 5千777トンと前年同月をかなり大きく上回った(15.1%、 図5)。 

 推定出回り量は6千700トン (▲3.0%) と前年同月をやや下回った。 
 
 8月の推定期末在庫量は、 3万6千500トン (▲27.4%) で引き続き前年同月を大
幅に下回った。
 
 8月のバターの大口需要者価格は、 7月より1円値を下げ、 950円/kgと前年同月
並みとなった (▲0.4%)。 



8月の脱脂粉乳 引き続き高値

 8月の脱脂粉乳の生産量は、 1万4千118トンと前年同月をかなりの程度上回った
(7.2%、 図6)。 
 
 輸入量 (飼料用等を除く。) は9千100トンとなった。 輸入相手国別のシェアをみ
ると、 季節の関係でオセアニア産が少なく、 EU産が全体の97.5%を占めている。 

 推定出回り量は2万200トン (0.9%) と前年同月並みとなった。 
 
  8月の推定期末在庫量は5万1千トン(35.0%)と前年同月を大幅に上回り、 増加
傾向で推移している。 
 
 脱脂粉乳の大口需要者価格は、 7月より1円値を下げたが、 1万3千567円/25kg
と前年同月をわずかに上回り(2.2%)、 安定指標価格を5.7%上回った。 

 なお、 畜産振興事業団による売渡入札は、 8月29日に実施され、 合計5千998ト
ンが落札された。 
 今月のトピックス
乳用牛の飼養動向
 平成7年8月1日現在の「乳用牛の飼養動向」が農林水産省統計情報部から発表さ
れた(図7)。 これによると、 総飼養頭数は194万4千頭で、 前年に比べて3%減少
した。 内訳をみると、 搾乳牛は5%減少し、 乾草牛は14%増加した。 

 これは、 昨年の猛暑の影響による種付け時期の遅延、 受胎不良等があったことか
ら、 分娩時期がずれ込んだことが原因とみられる。 年齢別みると、 2歳牛が1%増
加したほかは、 各年齢階層とも減少した。 

 また、 分娩頭数をみると、 平成7年2〜7月は前年同期に比べて7%減少した。 


〔  鶏  卵  〕 

8月の主要5都市の総入荷量 前年同月をかなり下回る

 8月の主要5都市 (札幌、 東京、 名古屋、 大阪、 福岡) の総入荷量は、 3万2千
612トンと前年同月をかなり下回った(▲6.8%、 図1)。 
 
 8月の採卵用めすのひなえ付け羽数は、 782万9千羽と前年同月をわずかに上回
った (2.1%)。 また、 農林水産省統計情報部の聞き取り(9月上旬)による採卵用
めすのひなの出荷計画によると、 出荷の見通しは、 前年同月に比べて、 9月が96
%、 10月が98%、 11月が89%となっている。 


8月の輸入量  前年同月をかなり下回る
 8月の鳥卵類の輸入量は、 8千454トン (殻付き換算) と前年同月をかなり下回
った (▲18.0%、 図2)。 輸入品目別にみると、 主に菓子・ケーキ類の原料及び練
製品のつなぎ材料にされる卵白は1,113トン(実数、 ▲23.1%)と前年同月を大幅に
下回ったものの、 ケーキ・アイスクリーム類の原料にされる卵黄粉が247トン(実数
、 49.5%) と前年同月を大幅に上回った。 
 
8月の卸売価格  ほぼ前年同月並み
 8月の卸売価格 (東京・全規格平均)は、 157円/kgでほぼ前年同月並みで(0.6%
、 図3) 鶏卵価格安定対策事業による補てんが4カ月連続で行われることとなった。 
しかし、 相場は8月下旬に反発、 9月も続伸し、 9月末には、 年初来の高値(250円
/kg、 東京、 M)となった。 この背景には、 昨年来のえ付け羽数の減少や猛暑により
生産量が減少した中で、 涼しくなり、 消費が回復してきたことに加え、 学校給食用
の手当てが活発となったことなどがある。
 トピックス
  9月21日農林水産省畜産局食肉鶏卵課は、 全国鶏卵需給調整会議を開催し、 7年
度の鶏卵生産見通しについて報告した。 
 
 これによると、 鶏卵生産量は、 252万174トンと前年度をわずかに下回る見込み(
▲1.3%) である。 また、 成鶏雌羽数は、 1億5千284万8千羽(▲1.9%)、 ひなの
導入羽数が、 1億392万8千羽(▲1.9%)と、 いずれもわずかに前年を下回る見込み
となっている。
平成7年度鶏卵生産見通し(鶏卵需給調整協議会報告(平成7年5月調査結果)
                       (単位:トン、千羽)
期間 区分 鶏卵生産量と成鶏めす羽数
鶏卵生産量 成鶏雌羽数
動向見込み 前年実績 前年比 動向見込み 前年実績 前年比
合計 北海道 109,050 113,370 96.2 6,439 6,813 94.5
東北 342,900 342,760 100.0 19,326 19,383 99.7
関東 591,000 599,250 98.6 33,495 33,854 98.9
北陸 135,712 142,867 95.0 7,444 8,087 92.0
東海 279,090 285,150 97.9 17,133 17,431 98.3
近畿 183,550 182,350 100.7 10,651 10,691 99.6
中国四国 409,416 404,753 101.2 32,470 32,467 100.0
九州 450,436 464,205 97.0 24,866 26,018 95.6
沖縄 19,020 19,120 99.5 1,026 1,062 96.5
全国計 2,520,174 2,553,825 98.7 152,848 155,806 98.1
期間 区分 ひな導入
動向見込み 前年実績 前年比
合計 北海道 4,689 4,689 94.4
東北 13,630 13,630 98.2
関東 23,876 24,227 98.6
北陸 5,820 6,070 95.9
東海 13,251 13,253 100.0
近畿 7,773 8,281 93.9
中国四国 16,440 16,613 99.0
九州 17,874 18,259 97.9
沖縄 816 654 124.8
全国計 103,928 105,956 98.1
 

元のページに戻る