◎地域便り


リードカナリーグラスで安定酪農を実現

北海道/新名 正勝
 リードカナリーグラスは、 我が国に自生している 「クサヨシ」 のことを指す。 
この草は湿地に繁茂し、 刈取適期が短く、 すぐ粗剛になり嗜好性が低下する。 耐
湿性、 耐寒性を有し再生力が強いため、 草地更新をしても他の牧草を押さえ、 単
一草地を形成しやすい。 このため、 北海道では 「ギシギシ」 と同様に嫌われる草
として有名である。 

 しかし、 空知管内北村には、 この草を利用しながら見事な酪農を展開している
貴重な事例がある。 

 経産牛40頭、 出荷乳量380t (実績ベース) の林牧場は、 採草面積35haのうち23
haをリードカナリー草地 (河川敷地) に依存している。 嗜好性に力点を置き、「燐
酸の施用」、 「早刈り」、 「雨に当てない」 の三原則を実践するために、 綿密な天候
予測、 頻繁な生育調査、 収穫作業の勝負どころでは徹夜も辞さない作業体系のも
とに、 昨年も良質サイレージを確保している。 

 経産牛1頭当たり平均乳量8,200kg (乳検データ2月実績)年間を通して高成分 
(乳脂肪4.0%、 乳蛋白3.3%) の維持、 自給飼料TDN (可消化養分総量) 1kgあた
り29円という昨年実績は、 不利な条件を見事に跳ね返した実績である。 

 昨年は道内の多くの酪農家が長雨にたたられて、 あまり品質の良くない自給飼
料生産を余儀なくされたが、 米どころ空知の典型的な泥炭地でのこの事例は、 多
くの示唆を含んでいる。 


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