◎地域便り


生体肉質診断で優良牛の増頭推進

岩手県/長内 治夫
 岩手県の久慈家畜畜産物衛生指導協会は、 平成8年度、 肉牛農家や関係機関か
らの強い要望を受け、 肥育牛の肉質を生体のままで診断できる 「スーパーアイミ
ート」 を導入した。 

 生体の体表から超音波により皮下脂肪の厚さやロース芯面積を推定できるもの
で、 県単補助事業の地方振興局地域活性化事業調整費を活用し、 関係市町村、 農
協からの特別負担金の拠出によって実現した。 肥育中期に仕上げ時の産肉形質を
予測できるため、 出荷時期の決定ができること、 従来はと畜後にしか見られなか
ったロースのサシの判定を行うことができること、 日齢・産次にかかわらず産肉
形質を推定でき、 保留雌牛の選抜に利用できることなどが特徴である。 

 当地域の黒毛和種は、 県内全般に減少傾向にある中で、 着実に増頭しているが、 
飼養管理、 改良の歴史が浅いため、 子牛の市場評価があまり高くない。 一方、 日
本短角種は牛肉自由化以降、 輸入牛肉との肉質競合のため厳しい競争にさらされ、 
先行き不安から飼養戸数、 頭数が減少傾向にあり、 早急な肉質の改良、 向上が緊
急の課題となっている。 

 このため、 多大な時間を要する現行の改良手法に代えて、  「スーパーアイミー
ト」 による測定手法を導入して、 関係者一体となり当地域を早期に 「優良肉用牛
の主産地」 とするべく取り組んだものである。 

 実際に農家の飼養牛について 「スーパーアイミート」 を利用する際は、 岩手県
畜産試験場から全面的にバックアップを得て実施している。 今後は、 県北部地方
和牛生産改良協議会の優良基礎牛保留推進や、 日本短角種集団育種推進事業の保
留雌牛選抜等について、 データの集積、 分析、 検討を重ね、 積極的に活用する計
画である。 

 本技術が地元に早く定着するようスーパーアイミートによる測定、 記録はでき
るだけ農協、 経済連が担当し、 将来は当協会構成員への貸付も考えている。 また、 
久慈地方振興局畜産課、 他関係団体から成る指導班を組織し、 関係者一丸となっ
て努力しているところである。 


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