福島県/片桐 紀生
建設省郡山国道事務所では2月26日、 全国で初めてたい肥の発酵熱を利用した 道路の融雪システムを開発し、 郡山市内の国道49号の中山トンネル坑口で公開試 験を行った。 同事務所では国道の分離帯や路肩の除草作業で出る年間約 400トンの草木を、 従来は焼却処分していたが、 近年はたい肥として還元するリサイクル方式を進め てきた。 これをさらに進め、 たい肥発酵の際に発生する発酵熱を道路凍結の解凍に有効 利用できないかと、 平成7年に電動発酵槽を購入して融雪試験を重ねてきた。 よ うやく実用化の段階にこぎ着けたため公開されたものである。 融雪に利用するエネルギーは除草した草木、 牛ふん、 排白土 (油精製の産業廃 棄物) を発酵槽に投入し、 たい肥化させる。 たい肥化が始まると微生物が活動し、 発酵熱が発生、 70℃以上となったものを利用する。 (ちなみに60℃以上の温度が 数日継続すると雑草の種子、 寄生虫卵、 病原菌は死滅する。) たい肥の中の熱交換機器を通じて不凍液を暖め、 道路の下のパイプを循環させ て雪を溶かす仕組みとなっている。 これまでは電熱や地下水を汲み上げて融雪していたが、 ランニングコストが高 かったり、 地下水の汲み上げによる地域の地盤沈下が社会問題化するなど適切な 手段がなかった。 この方法であれば草木、 牛ふん、 排白土の処分、 たい肥製造、 安価な融雪コス トと 「一石五鳥」 の効果が見込まれる。 発酵槽の設置場所の確保等に問題がある ものの、 平成9年度には実用化に着手の予定。 今後、 実用化されれば、 豪雪地帯 や寒冷地での牛ふんの発酵熱利用という新しい分野に期待が持たれる。元のページに戻る