◎地域便り


農業大学校の新パーラーで初搾乳

鳥取県/池岡 進


  「先生!準備ができました」  「ようし、 搾乳開始!」 

 鳥取県関金町にある鳥取県立農業大学校で、 1月8日、 新しい牛舎での初めて
の搾乳が行われた。 

 鳥取県は 「21東ほうきふるさと構想」 の一環として関金町の県立農業大学校を
学習拠点とする農業公園の整備を進め、 農業大学校を全面改築することとした。 
新しい学校の開校は4月1日であるが、 旧牛舎は新しい農業公園の広場になる予
定となっているため、 他の施設より一足早く新牛舎への移転が行われた。 

 旧牛舎では、 牛はスタンチョンによるつなぎ飼いで、 パイプライン方式による
搾乳が行われていた。 しかし、 パイプライン方式は労力が多くかかることや、 乳
房炎などの疾病が多発すること、 それに何といっても学生に最新の施設で学習し
てもらいたいという職員の意向を考慮し、 フリーストールの新牛舎ではオートタ
ンデムのパーラーシステム (3頭シングル) が導入された。 

 そして1月8日、 旧牛舎からの牛の引っ越しも無事終了した午後4時、 新しい
パーラーシステムでの初搾乳が開始された。 「ゲートオープン。 ガシャ」 搾乳室
入り口のゲートが開き、 牛は学生と職員が見守る中、 おそるおそるゲートを通過
した。 「もう少し、 もう少し歩け!」 牛はみんなの期待通り、 1番目のミルキン
グストールに入った。 2番目、 3番目、 後に続く牛も順調にミルキングストール
に入り、 無事搾乳が終わるものとみんなが安心したそのときだった。 「アメデオ、 
落ちつけ!」 アメデオという名前の牛が突然暴れだし、 ストールの扉を自分の体
重で強引に押しあけ、搾乳室の外に飛び出していった。 同席していた関係者も「こ
んな牛は見たことがない」 と驚きを隠せない様子であった。 

 あれから1カ月半が経ち、 おそるおそる搾乳室に入っていた牛達も、 今ではす
っかり落ちついた足どりとなり、 旧牛舎にいた頃以上に乳を出しているようだ。 
もちろん、 アメデオも。 

【新牛舎で新生活をスタート】


元のページに戻る