◎地域便り


低コスト受精卵の確保で、 牛は長持ち

愛媛県/大野 喜雄
 愛媛県経済連の肉用牛センターがある上浮穴 (かみうけな) 郡久万 (くまん) 
町は、 松山市から車で約1時間の標高500〜800mの高原にあり、 林業の町として
知られる。 夏は避暑、 冬はスキーにと県外からも訪れる人が多い。 また、 町内に
ある 「久万高原天体観測館」 には、 四国最大級の天体望遠鏡が設置され、 美しい
夜空を楽しむこともできる。 

 同センターでは、 この度、 優良血統牛の効率的多頭生産を行おうと、 ETのため
の胚採取を行った牛に通常の人工授精 (AI) を行う新しい和牛生産システムの確
立に取り組むこととなった。 

 胚採取後、 同一牛にAIを行い分娩させ、 分娩後80〜100日の間に再び胚採取を
行う。 新しい和牛生産システムはこのサイクルを繰り返して行うものである。 妊
娠・分娩により牛の繁殖生理が損なわれにくいことから、 優良和牛の効率的な生
産が可能となる。 

 センターでは一般的に、 一度に10個前後の胚が回収されているが、 その内、 正
常胚は平均約6個、 凍結が可能な胚は平均4個である。 この胚を4頭に移植した
場合、 受胎率が50%とすると2頭の和子牛が生産されることになるが、 AI産子を
含めると、 同じ血統の子牛が同時期に3頭も生産できることになる。 

 今後、 本システムの実用化により、 優良和牛の効率的な生産が可能になるもの
と、 農家をはじめ関係者から大きな期待が寄せられている。 センターでは、 関係
機関と連携しながら、 本システムの早期実用化と普及に向けて積極的に取り組む
予定である。 


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