◎地域便り


地域の特性を生かした銘柄豚肉 「きたうらOh (オ) 茶メ豚」

宮崎県/大西 裕次
 宮崎県東臼杵 (ひがしうすき) 郡北浦町は太平洋に面した県の北部に位置し、 
県内でも有数の漁業の町であるが、 畜産についても盛んな地域であり、 農家の連
携が非常に良いところである。 

 この地域をサポートするJA延岡管内には10戸の養豚一貫経営農家があり、500頭
の母豚が飼養されている。 

 近年の輸入豚肉の増加、 後継者不足、 環境問題など養豚を取り巻く情勢に対処
するため、 JA延岡では、 これまでの繁殖農家が生産した子豚をJAの施設で肥育し、 
出荷する、 肉豚共同生産システムから、 施設を農家に賃貸して子豚の生産から出
荷までを行う施設賃貸一貫システムに移行させるなど、 農家経営の安定化に資す
るよう事業の再構築を行っている。 この取り組みの一環として、 地域の特性を生
かした差別化商品を開発するため、 県畜産試験場とJA延岡とで色々研究を重ねて
きた。 

 北浦町では豊富な魚資源を飼料に利用し、 DHA(ドコサヘキサエンサン) を多く
含む 「きたうらDHA卵」 の生産販売を行っている。 養豚での利用について、 県畜
産試験場と研究してきたが、 コスト面で難しく、 また、 昆布の利用研究も行った
が、 うまくいかなかった。 

 そこで、 地域で生産されているお茶に目を付けた。 幸い養豚生産農家のほとん
どがお茶との複合経営である。 最近、 お茶に含まれているカテキンという物質が、 
花粉症や気管支ぜんそくなどのアレルギー疾患を抑制する作用をもつことや、 糖
尿病に対するお茶の血糖降下作用などが明らかにされ、 お茶への期待が高まって
いる。 

 そこで、 銘柄豚肉づくりに取り組んでいる農家、 JA、 町役場の3者が試験を重
ねた結果、 宮崎県銘柄豚ハマユウポークに、 2番、 3番刈りの製茶時に出る粉末
を飼料に添加して与えることが決定した。 このほど、 試食会、 試験販売を行った
ところ 「しつこさがなく、 さっぱりしている」、 「柔らかい肉質で味わいがよく、 
日持ちがする」 ということで好評であった。 4月からは月400頭の生産計画のう
ちえりすぐられたものの大手食肉メーカーへの出荷が始まり、 主に生肉として全
国へ出荷される。 

  「きたうらOh (オ) 茶メ豚」 と名付けられた地域の特性を生かした銘柄豚肉を
どうかよろしくおねがいします。 


元のページに戻る