★事業団から 

最近の 「畜産情報ネットワーク (LIN)」 の展開について

情報システム推進室長 渡 部 紀 之
畜産情報ネットワーク推進協議会 事務局



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 国際化の進展等畜産をめぐる情勢が大きく変化する中で、 畜産経営の健全な発
展を図っていくためには、 経営者、 関係機関・団体等が各種情報を迅速かつ容易
に入手し、 活用し得る体制を整備することが強く求められたことから、 農畜産業
振興事業団(以下 「事業団」 という。) は、 関係団体が事業団の情報提供業務と連
携して行う情報提供体制の整備を行うこととした。 

 このため、 平成6年度の指定助成対象事業として 「畜産関係団体情報提供体制
整備事業 (内、 畜産情報ネットワーク整備事業)」 が実施され、 その実施に際し、 
事業実施主体である社団法人中央畜産会、 社団法人中央酪農会議及び社団法人家
畜改良事業団と事業団とで、 畜産情報ネットワーク推進協議会 (以下 「推進協議
会」 という。) を結成し、ネットワークについての協議、 検討を行うこととなった。 

 推進協議会では、 各関係団体が所有する公開可能な情報を提供することで、 情
報の共有化を図るとともに、 生産から流通、 消費にいたるまでの間の関係者が、 
畜産に関する的確な情報を迅速に入手することが可能となるような、 分散統合型
の情報提供体制の整備について検討が行われた。 

 推進協議会における1年半の検討期間を経て、 平成8年1月22日に 「畜産情報
ネットワーク (Livestock-Industry Information Network)」 (以下「LIN」 という。) 
のホームページをインターネット上に開設することで、 このネットワークは第一
歩を踏み出すこととなった。 

 同時に、 畜産振興事業団 (現、 農畜産業振興事業団) のホームページが開設さ
れた。 

初期段階のLIN


 6年当時、コンピュータを利用した情報提供は商業VAN等を利用したものが主流
で、 インターネットは、 4年に民間のネットワーク・サービス・プロバイダとし
てIIJが発足したばかりで、 今ほど一般的ではなかった。 そこで、どちらを利用し
たネットワークにするかについて技術的な検討の結果、 文字以外に画像 (静止画、 
動画) や音声等による、 いわゆるマルチメディア対応の情報提供が可能であるこ
とが決め手となって、 インターネットを利用する方式を採用することとなった。 

 しかし、 当時の日本におけるインターネットの利用は、 徐々に一般化されつつ
あったとはいえ、 参考事例は少なく、 まったくの手探りに近い状態で開設準備が
行われていった。 したがって、 開設したばかりのLINは、各団体への共通のアクセ
スポイントとして、 道標的に各団体の名前 (LINからのリンク先)が掲載されてい
るだけの味も素っ気もない、 平凡なホームページであった。 

 8年4月1日 (LINの正式な発足日) までには、 中央畜産会、中央酪農会議及び
家畜改良事業団のホームページの開設も間に合い、 さらには、 農林水産省畜産局
及び各都道府県単位の畜産の情報を提供する 「都道府県情報」 のホームページの
開設も相次ぎ、 畜産振興事業団を併せて、 6つのホームページへの共通アクセス
ポイントとしての形は一応整えられた。 

 8年7月に、 「O−157 (腸管出血性大腸菌)」 による集団食中毒が発生したこと
が契機となって、 畜産に関係するものの中で社会的に影響の大きい事柄について
は、 緊急的な情報提供が必要との認識から、 関係方面の協力を得ながら緊急情報
を掲載することとなった。 (「O−157」 については、 農林水産省畜産局の協力の下、 
情報提供を行った。) 

畜産関係団体の新規参加


 8年度に入り、 (財)全国競馬・畜産振興会の助成事業 (畜産情報センター整備
事業) が実施され、 12年度までの間に順次、 畜産関係団体の情報提供体制整備に
ついて支援が行われることとなった。 8年度中には10団体 ((社)全国肉用牛協会、 
(社)日本草地畜産協会、 (社)酪農ヘルパー全国協会、 (社)畜産技術協会、 (社)日
本家畜人工授精師協会、 (社)日本食肉格付協会、 (社)日本科学飼料協会、 (社)日
本実験動物協会、 (社)日本飼料作物種子協会、 (財)日本食肉消費総合センター) 
がそれぞれホームページを開設し、 情報提供を開始する運びとなった。 

 これらの団体はLINとの連携を図るため、 LINを構成するメンバーとして参加し
ている。 これとは別に、 8年度末に他の事業等でインターネットによる情報提供
を行っている、(社)全国肉用子牛価格安定基金協会及び(社)日本養鶏協会もLINに
参加した。 

 9年度以降も同様の計画が進められており、 今後、 (社)日本畜産施設機械協会、 
(財)畜産環境整備機構、 (社)配合飼料供給安定機構、 (協)日本飼料工業会、 (社)
全日本初生雛鑑別協会、 (社)全国養豚協会、 (社)全国家畜畜産物衛生指導協会、 
(社)日本獣医師会、(社)全国牛乳普及協会、 (社)全国農協乳業プラント協会、(社)
日本乳製品協会、 全国乳業協同組合連合会、 日本ハム・ソーセージ工業協同組合
及び(社)全国食肉学校等が畜産情報センター事業により、 (財)日本食肉流通セン
ター等がその他の事業によりホームページを開設し、LINに参加してくるものと想
定されている。 

 また、 9年度早々に、 行政機関として農林水産省家畜改良センターがホームペ
ージを開設したことから、同センターもLINを畜産情報の共通アクセスポイントと
している。 

 したがって、 このような展開の中で、近々の内にLINを核として畜産に関する各
種情報を提供する一大情報ネットワークができあがることとなり、LINは最終的に
は30を超える畜産関係団体の共通アクセスポイントの役割を果たすこととなる予
定となった。 

迅速、 容易に情報に到達するために


 各関係団体の所有する情報は、多種多様にあり内容も多岐に渡っている。 LINに
参加する団体が増え、 提供する情報も増える中にあって、 共通アクセスポイント
としてのLINのホームページは、単に各団体への窓口として各団体名を掲載するだ
けでは、 利用者はどこにどのような情報があるのか分からず、 必要な情報に迅速、 
容易に到達できないという問題が生じてきた。 

 このため、 情報に到達するための手段として、 多種多様にわたる情報内容を比
較的迅速、 容易に到達する方法として優れている自由語検索方式を採用すること
とし、 9年度早々にLINのホームページを大幅に改善し、 改良を加えた。 

 最新のLINのホームページは、 図1の通りである。 

図1
 
 

具体的なLINの利用方法


 利用者がLINのホームページを開いて情報を探す場合、1)検索システムを利用す
るか、 2)直接関係団体のホームページから情報を探すかの2つの方法がある。 

● 検索システムの利用

 現在のところ、 「LINの情報」 と 「所有情報」 の2つの情報検索が用意されてい
る。 (将来的には、この2つに加えて、 国内及び海外でインターネット上で畜産に
関する有用な情報提供を行っている WWWサイト等の情報検索ができるような仕組
みを開発する予定) 

 「LINの情報」 は、LINとして情報提供を行っている各団体のホームページに掲載
されている情報が一括検索できる。 「所有情報」 は、 LINとしては、 情報提供を行
っていないが、 各団体等の所有する調査報告書等について、 その概要や入手先等
が検索できるようになっている。 

 例えば、 「牧場」 についての情報があるかどうかは、「LINの情報」 又は 「所有情
報」 の 「検索キーワード」 欄に 「牧場」 と入力し、 「検索」ボタンをクリックする
と、 条件に合致した情報のリンク先等が検索でき、 続いて表題名等をクリックす
ると情報に到達できるようになっている。 

 検索は、 「AND」 又は 「OR」を利用することが可能で、 「AND」を利用して条件 (キ
ーワード) を付した場合は、 そのキーワードを全て満たすものが検索され、 「OR」 
の場合は、 そのキーワードのいずれかを満たすものが検索される。 

 具体的には、 「牛についての環境規制について」 を調べたい場合は、キーワード
の欄に 「牛 (半角スペース) 環境規制」 と入力し、ANDの○印をクリックしてから 
「検索」 ボタンをクリックすると、調べたい条件に合った情報が検索できることと
なっている。 

 (現在のところ、 検索システムの内容を整理中であり、まだまだ的確に情報検索
が行えない状態にあるが、 できるだけ早急に改善していきたいと考えている。) 

● 直接、 関係団体のホームページへ

 利用者がどの団体のどの情報と具体的に範囲を限定できる場合は、「直接、 関係
団体のホームページへ」 の小窓から団体名を選んで、 「GO」ボタンをクリックすれ
ば、 目指す団体のホームページに到達でき、 そこに掲載されている内容一覧 (目
次) から目指す情報に行き着くことができる。 

 さらに、 LINには 「最近のトピックス、 最新情報、 緊急情報」のコーナーが附加
されており、 新たにホームページを開設した団体へのリンクや各団体が情報内容
の更新等を行った場合のお知らせとリンクができるようになっており、 また、 行
政上の緊急的な情報についても直ちに掲載することで、 利用者が出来るだけ迅速、 
容易に常に新しい情報に到達できるよう工夫がこらされている。 

事業団ホームページ上の検索システム


 LINの情報検索システムの開発と同時に、 事業団の情報についても 「検索」がで
きるようにシステム開発を行ってきた。 

 現在、 事業団がインターネット上で提供している 「海外駐在員情報」 及び 「畜
産の情報 (国内編、 海外編)」 の文字情報については、過去にさかのぼって提供し
た情報の全内容について 「検索」 が可能となっている。 

 また、 利用者からの要望の強かった統計数値情報についても、 「検索システム」 
を導入した。 このことによって、 例えば、 「大阪市場の牛枝肉の卸売価格」の統計
数値を調べたい場合は、検索キーワードに 「大阪市場 (半角スペース) 牛枝肉」と
入力し 「AND」 をチェック、 「検索」 ボタンをクリックすると、 数値情報のリンク
先が表示される。 

 なお、 数値情報は、 利用者の便宜を考慮し、 表計算の 「Excel」 及び 「Lotus1
−2−3」 形式及び 「HTML」 の3形式で情報提供を行っており、 ほとんどの利用
者のニーズに合うようになっている。 

 数値情報で検索できる範囲は、 「畜産の情報 (国内編)」 の巻末に掲載されてい
るほぼ全ての統計資料で、 利用者は直接帳票を入手することが可能となった。 

 (海外の畜産関係の統計数値情報については、 直接当該情報を提供しているWWW
サイトにリンクする検索システムについて研究中である。) 

図2
 
 

おわりに


 LIN及び事業団のインターネットを利用した情報提供は、試験的な情報提供期間
を含めて1年半が経過した。 その間、 畜産情報ネットワーク推進協議会 (及び実
行委員会) での検討を通じ、 さらにはLINの利用者からE−メール等により多くの
意見が寄せられ、 その内容の検討等によって、 より利用し易く的確に情報が伝達
できるように改良、 改善に努めてきたが、LINは現在、 勢いに乗って情報提供を行
う団体の数を増やしつつあり、 一つのネットワークとして膨大な情報を取り扱お
うとしている。 

 この膨大な情報を、 利用者ができるだけ簡便に利用できるようにするため、 利
用者の皆様のご意見を大幅に取り入れていきたいと考えています。 

 E−メール (アドレス、 alic@lin. lin. go. jp又はwatanabe@lin. lin. 
go. jp) 又はFAX (03−3584−1246) 等でご意見をお寄せいただけたら幸いです。 

 LINのホームページアドレス (URL) 
   http://www. lin. go. jp/

 事業団のホームページアドレス (URL) 
   http://www. lin. go. jp/alic. htm/

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