◎地域便り


バイオベッドを活用したルーズバーン

北海道/田中 義春


 北海道網走支庁管内置戸町の酪農家蛯名 (えびな) 政雄さんは、 平成7年12月
から、 発酵菌で作るバイオベッドを活用したルーズバーンでの飼養を始めた。 従
来の牛舎では、 牛床が短い、 換気が悪い、 労働時間が長い、 その割には技術や経
営成果が上がらないなど問題が多くあった。 

 そこでフリーストールの導入を考えたが、 負債も多く金銭的な面で何か良い施
設はないかと検討した。 その結果、 仲間や関係者の中には賛否両論もあったが、 
この方式の採用を決断し、 建設した。 

 縦6間 (約10.9m) 横25間 (約45.45m) の牛舎に、 バーク材を20cmほど積み上
げたベッドの上で、 随時導入された経産牛68頭が入っている。 さらに、 個体管理
が可能なフィーダーステーションを設置、 パーラーはタンデムを採用し搾乳して
いる。 

 施設には先進農家の助言もあり、 水分、 においなどの吸着力のある炭を入れて、 
ベッドを造る工夫をした。 牛がゆったりと横臥や反芻する姿は今までは見られな
かった光景だという。 

 心配された疾病も少なくなり、 生乳検査における体細胞数も導入前より数値が
低く抑えられ、 獣医さんを呼ぶ回数も減った。 また、 ハエやにおいもなく、 ベッ
ドの管理も毎日30分程で終わり、 ふん尿処理も今の段階では成功というところ。 

 ただ、 バイオベッドは柔らかい、 発酵温度が今は20度しか上がらないが、 もっ
と上昇させるため60cm以上高く積み上げたい、 敷料をリサイクルするため掃き出
されたふんを積めるたい肥舎が必要、 菌の効果がわからない、 どうしても密飼い
になるなど、 問題も少なくない。 

 バイオベッドに関しては一部の畜産農家が実施したり、 北海道の新得畜産試験
場で試験が始まっている。 ホルスタインの乳牛だけでこれだけの規模は、 北海道
で初めての試みではないかと農協職員も話していた。 

 蛯名さんも半信半疑で実施したこの施設体系、 個体乳量を含めた成績向上はこ
れからというところ。 規模拡大というとすぐにフリーストール牛舎を想定するが、 
いろいろなタイプがあってもよいのかもしれない。 

【バイオベッドで快適な牛舎環境】


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