◎地域便り


エミュー飼育に挑戦

北海道/川田 武


 北海道上川支庁管内下川町で、 埼玉県出身の若者が、 北海道の起業化促進奨励
事業の補助金1千万円を受け、 オーストラリア原産でダチョウの仲間のエミュー
の飼育をスタートさせた。 

 この若者は、 平成元年7月にカナダを旅行した際、 自然と共存している農業者
の姿に共鳴し、 いつかこの姿を実現すべく夢を描き続けてきた今井弘さん (26才)。 
昨年春にアメリカのモンタナ州立大学農学部を卒業した。 

 在学中に土壌学を研究していたとき、 研究員として来ていた下川町役場職員に
北海道の雄大さ、 下川町の農林業、 原始林が残る山々や清流の美しさ等を聞かさ
れたことがきっかけで、 夢を実現させる土地は下川町と決めていた。 

 卒業後、 北海道ではまだ珍しいエミューの飼育が起業化に最適と判断し、 同大
学の指導教授と来町し、 候補地の下見をした。 その結果、 十分に飼養条件が整っ
ていることが判明し、 エミューの導入を決めた。 

 エミュー2組4羽を平成8年11月、 アメリカモンタナ州より100万円で購入し
てスタート、 体長は約160cm、 体重55kg前後である。 産卵期は秋口から春先で、 
年間約40個前後の卵を産み、 現在長旅の疲れも見せず産卵を始めている。 予想以
上の繁殖力に驚きながら、 将来的には繁殖成鳥を増殖させ、 年間1千羽の出荷を
めざしている。 

 エミューはダチョウと同じ走鳥類で空を飛ぶことができず、 雑食性である。 肉
は低脂肪で高たんぱく、 コレステロールの抑制に効くことが注目された健康食品
で、 羽はフライフィッシング用の毛針に、 皮はベルトなどに利用でき、 地元や近
隣の大消費地である旭川市などでの消費が期待されている。 

 道北地方でも厳寒の地で有名な雪一色の下川町で、 ペア同志が鋭いくちばしを 
「コポーン、 コポーン…」 と鳴らして、 求愛のポーズをとっている姿を見ながら、 
今井さんは平成10年からの出荷を予定し、 アイディア商品の開発を町内若手グル
ープとともに取り組みたいと、 目を輝かせている。

【厳寒の地、下川町で熱い視線をあびる4羽のエミュー】


元のページに戻る