◎地域便り


酪農家がたい肥化新システムを導入

愛知県/今井 幸一


 愛知県江南市で成牛35頭を飼育している酪農家が、 加圧混練方式のたい肥化機
械を導入し、 耕種農家にたいきゅう肥の供給を開始した。 この機械は、 金属製の
筒の中に特殊形状の羽とスクリューがある。 この筒を原料である生ふん尿ともみ
殻が通過するとき、 圧力が加えられて練り混ぜられ、 微粒化される。 送り込まれ
る原料の量や圧力はコンピューターで制御されている。 1日に、 農場からでる生
ふん尿1.5tともみ殻・オガコ0.9tを投入することにより約3時間で処理 (水分60
%) することが可能である。 機械の本体価格は750万円である。 たい肥は、 処理
後4週間前後で耕種農家へ出荷される。 製品は臭いもなく使い易いと大好評で、 
地域の耕種農家に多く利用されている。 

 この施設の大きな特長は、 (1)密閉された筒の中でふん尿ともみ殻が均一に加
圧混合されるため発酵速度が早いこと、 (2)練る際に、 高温で高温菌の活動を活
性化させ、 また臭いの元の低温菌を死滅させるため発生臭気が少ないことである。 
当牧場では今までふん尿を周辺の畑に直接還元していたが、 地域住民からの苦情
の発生により、 今回のシステムの導入を決意した。 さらに畜舎は江南地方でも有
数の住宅地の近くで、 導入に当たっては発生臭気の少ない機種が大前提になって
いた。 たい肥の不需要期には製品をもみ殻の代わりに再使用し、 過剰在庫を出来
るだけ持たないようにする予定である。 また、 将来的にはたい肥の品質を高める
ため、 他の肥料要素を混合することも考えている。 

 土づくりの重要性が叫ばれている昨今、 地域の耕種農家や家庭菜園愛好家への
優良な有機質資材の供給先として、 今後、 良質たい肥の安定供給が期待されてい
る。


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