◎地域便り


「Uターン」で畜産経営

愛媛県/兵頭 泰明


 愛媛県東宇和郡城川町は高知県境に接する中山間地で、 肉牛の出荷頭数は県下
一を誇る。 畜産の町城川町も高齢化が進み、 後継者不足による畜産廃業者が増え
つつある。 

 そんな中に、 平成8年5月に城川町大字魚成の旧開拓地、 通称 「谷山」 と呼ば
れる地区へUターン青年 (?) 松田正さん (44才) が、 廃業で残された畜産施設 
(土地3.3ha、 畜舎8棟) をそっくり引き継いで畜産に新規参入した。 

 松田さんは同県八幡浜市出身で、 隣町の牧場 (酪農) に勤めたことはあるもの
の、 以前は県外で、 動物園やスキューバダイビングの仕事に従事していた。 平成
7年に行われた畜産試験場での家畜人工授精師養成講習中に知り合った、 JA城川
町畜産課の村上君と意気投合したのが縁である。 

 その後、 「動物に携わる仕事がしたい。 今が年齢的に最後の挑戦」 という熱意
と、 町、 県経済連、 JA城川町の強力な支援により畜産経営に参入した。 現在は、 
山の中腹にある畜舎に住み込み経営に取り組んでいる。 

 ほ育育成牛160頭、 繁殖和牛8頭を飼育中で、 将来の一貫経営に向け基礎造り
を行っており、 松田さんは 「落ち着くまで3年」 と準備段階であることを強調。 

 自宅は東宇和郡宇和町にあり、 単身赴任中であるが、 9年3月には家族ともど
も城川町の住民となる予定である。 子供達も大の動物好きで、 土、 日等休日には
母親と一緒に畜舎に来て手伝ったり牛達とふれあい中。 

 城川町の畜産農家は、 他作目農家に較べ若い後継者が多く、 部会活動にも積極
的に参加、 新しい技術の取得に積極的で、 お互いの交流にも努めている。 停滞し
がちな畜産の状況の中で、 松田さんのUターンと今後の活躍が刺激となり、 同町
の畜産が活性化し、 後継者や、 Iターン、 Uターンが増え、 「奥伊予畜産の里」 城
川町の畜産振興の起爆剤となってくれることを望みたい。


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