◎地域便り


農家の自家製ハム、 ソーセージが好評

宮崎県/日高 文昭


 宮崎県内一の畜産どころ、 北諸県 (きたもろがた) 郡高崎町縄瀬の志戸春雄さ
ん (47) は、 妻のり子さん (40) と2人で母豚120頭を飼養する一貫経営農家で
ある。 現下の養豚情勢に危機感を抱き、 対策について種々検討した結果、 自家生
産豚によるハム、 ソーセージ製造に取り組むことを思いついた。 

 先ず、 3年前 (平成6年) から、 熊本県のある先発の製造農家に足しげく通い、 
基本的技術の習得とともに品質良否の決め手となる香辛料の調合や使い方の秘法
を身につけた。 

 次いで、 昨年8月ようやく加工施設 (約1,000万円) を設置し、 創業にこぎつ
けた。 

 現在、 週1回、 町内にある 「くみあい食肉高崎工場」 で委託解体処理した自家
産豚を原料として、 1〜2日の工程で製造している。 

 製造に当たって、 ソーセージの皮は腸そのものを使い、 燻煙剤にも香りがよく
しかも地元で手に入りやすい山桜の木を利用するなど、 製造方法にこだわるとと
もに、 チーズ入りソーセージ、 ロース、 ヒレのハムなど消費者に好まれる製品作
りに懸命である。 

 製品は、 町内の町営 「ふれあい大牟田農産加工センター」、 郡内山之口町の第
三セクター営の 「山之口みちの駅」、 都城市のJA都城農産品販売所 「JAアトム」 
の3カ所で販売されているが、 非常に好評で売れ行きは上々である。 昨年末は、 
歳暮商品の引き合いが多く、 人手が不足し急きょ義姉の手を借りるほど製造に追
われる毎日であった。 

 近々、 自家直営販売店の設置も検討したいとのことである。 

 今後については、 長男 (高校3年生) が後継者として見通しがつけば、 志戸さ
ん夫妻は、 現有施設規模一杯の操業をしたいと胸を膨らませている。 

 今回の志戸さんの取り組みは、 農家の苦悩と試行錯誤の末での一つの選択であ
ったが、 地元はもちろんのこと、 県内関係者の評価は非常に高く、 今後の経営の
推移に強い関心と大きな期待が寄せられている。


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