◎地域便り


鹿児島県生まれの乳用雄子牛が種雄牛候補に

鹿児島県/宮里 俊光


 昨年の10月4日、 鹿児島県川辺 (かわなべ) 郡川辺町で酪農を営む五反田一郎 
(ごたんだいちろう) さん宅で生まれた乳用雄子牛 (父:メイズフィールド ベ
ルウッド ET、 母:クックスバレーカップ ビューティー ET) が、 種雄牛候補
として国の選定基準に合格し、 去る1月22日に農林水産省家畜改良センター十勝
牧場へ空輸された。 鹿児島県産の乳用雄子牛を種雄牛候補として国が買上げるの
は初めてのことである。 

 この子牛は、 鹿児島県が平成7年度から県単独事業として実施している乳用牛
能力向上対策事業により生産された。 県は、 2001年以降の酪農をめぐる新たな国
際化に備え、 酪農先進国であるアメリカ、 カナダから輸入された、 乳量・乳成分
ともにトップクラスの受精卵を活用し、 乳用牛改良の促進に取り組んでいる。 

 輸入受精卵は、 県営の大口育成牧場の育成牛に移植され、 県内の酪農家へ初妊
牛として譲渡される。 雌子牛が生まれた場合は県が買上げ、 1回採卵した後、 優
良種雄牛を交配し再び生産した酪農家へ譲渡される。 雄子牛については、 国が実
施する乳用種雄牛後代検定事業の選定基準に合格した場合は、 県を通じて国へ売
却することとしている。 

 これまでに雌子牛7頭、 雄子牛6頭、 計13頭が誕生している。 平成8年度は38
個の受精卵 (母牛の平均乳量15,344kg、 平均乳脂率4.3%、 平均乳蛋白質率3.7%) 
を輸入し、 現在移植を開始している。 

 検定済種雄牛となるためには、 今後の検定において多くの難関をクリアーしな
ければならないが、 将来、 鹿児島県産の乳用牛が優良種雄牛として広く活用され
ることを期待したい。


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