◎地域便り


北海道からの優良乳用雌牛導入により乳用牛群の改良を促進

鹿児島県/上山 勝行


 鹿児島県肝属 (きもつき) 郡東串良町と串良町では、 酪農先進地である北海道
から、 泌乳能力の高い初妊牛を導入することにより乳用牛の改良促進に取り組ん
でいる。 東串良町では平成4年度から、 串良町では平成8年度から町単独の基金
造成事業としてスタートさせている。 

 昨年11月末に北海道の釧路・帯広地域へ町の担当者が直接出向き、 以下の条件
をもとに選定・導入を行った。 (1)放牧され骨格がしっかりし足腰が強い、 (2)母
牛の検定成績が優れている (乳量が9,000kg以上、 乳脂率が3.9〜4.0%)、 (3)乳
牛らしい資質・品位が備わっている、 (4)優良種雄牛が授精されている、 (5)月齢
があまり進んでいない。 38戸の酪農家の117頭の候補牛を見て回り、 18頭 (東串
良町10頭、 串良町8頭) が選ばれた。 購入価格は、 40〜68万円であった。 

 導入された初妊牛は、 町内の酪農家へ無償で貸し付けられ、 4年後に購入代金
を町に支払い酪農家へ譲渡される。 今回は貸付申込みが殺到し、 抽選で貸付先が
決定された。 

 また、 町では優良精液 (輸入精液) の購入に対しても助成しており、 それによ
り生産される雌子牛が各酪農家の基礎雌牛となり、 牛群全体の能力が向上するこ
とを町は期待している。 

 西南暖地である鹿児島県での酪農は、 夏期の暑熱ストレスにより乳量・乳質が
低下しないよう飼養管理に努めることが重要である。 今回の導入を契機に両町で
は、 今後、 飼養管理技術の改善や暑熱対策などの研修会、 酪農家相互間の情報交
換会を開催し、 飼養管理についての酪農家の意識向上に図ることとしている。 今
回導入された乳用雌牛の能力が十分発揮され、 一層の改良の促進と経営の安定が
図られることを期待したい。


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