● 11月の生産量
前年同月をかなり下回る
11月の国内生産は、 母豚の飼養頭数の減少などから、 と畜頭数が148万頭 (▲7.
7%) となった。 生産量も、 と畜頭数の減少を受け、 7万9千619トン (▲6.9%、
図1) となった。
11月の平均枝肉重量 (全国平均) は、 10月から豚枝肉の取引規格が改正された
こともあり、 過去最高の76.8kg/頭 (0.9%、 図2) となった。
● 11月の輸入量
特別セーフガード (SSG) の輸入基準数量を超える
11月の輸入量は、 3万1千375トン (29.6%、 図3) であった。 前年度の11月
は、 SG発動から輸入量が激減したことなどから、 前年同月比は高いが、 前月に比
べると約1万トン減少している。
冷凍品は、 1万9千525トン (51.9%、 図4)、 冷蔵品は、 毎月、 ほぼ一定量の
需要があることから、 1万1千849トン (4.3%) となった。
国別にみると、 台湾産は、 冷蔵品、 冷凍品ともに、 前年同月を大きく上回り、
それぞれ、 31.4%、 73.2%、 合計では1万8千58トン (58.7%、 図5) となった。
一方、 米国産は、 冷蔵品、 冷凍品ともに前年同月を大きく下回り、 それぞれ、
▲16.0%、 ▲28.0%、 合計では、 6千707トン (▲18.1%、 図5) となった。 こ
のほかでは、 近年対日輸出に力を入れている韓国産が2千114トン (117.2%) と
なった。
この結果、 本年度の累計輸入量 (SSG算定ベース) が、 SSGに係る輸入基準数量
を超えたため、 SGに加え、 1月からSSGが発動されることとなった (トピックス
参照)。 また、 SG算定ベースの累計輸入量は、 54万4千490トンで、 年度SGの発動
基準数量59万4千トンとの差は4万9千510トンとなった。
● 11月の推定出回り量
引き続き前年同月をわずかに上回る
11月の推定出回り量は、 13万5千410トン (1.9%、 図6) となった。 国産品は、
生産量の減少などを受けて、 7万9千538トン (▲7.1%)、 一方、 輸入品は5万
5千872トン (18.3%) と前年同月を大幅に上回った。
10月の家計購入量 (1人当たり) は、 牛肉の減少とは対照的に、 依然、 好調で、
418グラム (8.2%) となった。 加工仕向肉量は、 ハム、 ソーセージの生産量が減
少する中で、 国産からの原料の手当てが大幅に減ったことなどから、 3万4千84
3トン (▲5.4%) となった。
● 11月の期末在庫量
引き続き高い水準
11月の推定期末在庫量は、 18万6千303トン (37.7%、 図7) となった。
国産品は、 1万6千232トン (34.0%)、 輸入品は、 7月以降、 在庫の取り崩し
が進んでいるが、 依然、 17万71トン (38.1%) と高水準にある。
● 11月の国産枝肉価格
前年同月をやや下回る
11月の卸売価格 (東京市場・省令) は、 輸入品の出回り量が増えたことなどか
ら、 一時的に390円を割るなどしたが、 月平均では398円/kg (▲5.5%) となっ
た (図8)。
12月の卸売価格 (速報値) は、 月初めからロイン系を中心に需要が強まったこ
とや、 年末・年始用の在庫の確保などから値を上げ、 月平均では459円 (2.5%)
となった。
● 11月の国産豚肉仲間相場
「うで」 「もも」 下げる
11月の国産豚肉の仲間相場は、 枝肉価格の低下を受け全般に、 「ヒレ」 を除い
て前年同月を下回った。 冷凍品も、 「ロース」 「ヒレ」 などを除いて、 前年同月を
下回った。
冷蔵品は、 「うで」 が417円 (▲13.0%)、 「もも」 が485円 (▲12.5%) となっ
た。
冷凍品は、 「うで」 が417円 (▲12.7%)、 「もも」 が486円 (▲9.2%) と下げ
(図9)、 一方、 「ロース」 が822円 (12.3%)、 「ヒレ」 が1,006円 (20.2%) とな
った。
● 11月の輸入豚肉仲間相場
冷凍台湾産すそものが急落
11月の輸入豚肉の仲間相場は、 冷蔵品では台湾産が 「ヒレ」 を除き、 総じて下
げた。 米国産 「ヒレ」 は引き続き高値を維持している。 冷凍品では、 「うで」 「も
も」 などのすそものが前年同月を大幅に下回っている。
冷蔵品は、 米国産 「ロース」 は783円/kg (2.6%、 図10)、 台湾産 「ヒレ」 が1,
122円/kg (6.1%) となった。
冷凍品は、 台湾産 「もも」 が420円/kg (▲27.7%、 図11)、 同 「うで」が348円
/kg (▲28.5%) と前年同月を大幅に、 デンマーク産 「ばら」 も610円/kg (▲5.
6%) となるなど前年同月を総じて下回った。
特別セーフガード (SSG) の発動と豚肉輸入をめぐる動き
1 緊急措置の発動
平成8年4月1日から11月30日までの生きている豚及び豚肉等の累計輸入量が
54万4千523トンとなり、 平成8年度における関税の緊急措置 (特別セーフガー
ド) に係る輸入基準数量53万7千199トンを超えた。
このため、 大蔵省は、 平成8年12月27日、 関税暫定措置法に基づきSGに加え、
SSGの発動開始日を平成9年1月1日からと定めたことを告示した。
これにより、 平成9年3月31日までの間、 初めてSGとSSGが重複発動されるこ
ととなった。
SSGの発動により、 基準輸入価格などは次のようになる。
平成8年度(部分肉ベース)
2 最近の豚肉需給と輸入
平成7年度、 8年度と連続でSGが発動されたが、 SG発動月の前後の輸入動向に
ついては共通する動きがある。 発動直前月には、 駆込みで冷凍品を中心として輸
入が激増した。 発動後は、 冷凍品の輸入量は減り、 毎月、 一定需要のある冷蔵品
は1万1千〜1万6千トンでほぼ安定している。
国別にみると、 冷蔵品の多いアメリカや台湾からの輸入量の落ち込みに比べて、
冷凍品主体のデンマーク、 カナダからの輸入量の減少が著しい。 一方、 最近の新
しい動きとして、 韓国やメキシコなどからの輸入が増えている。
また、 加工向けの原料として関税の緊急措置の対象とならない調製品やソーセ
ージなどの輸入が増えている (図12)。
3 今後の動き
SSGは、 発動日前 (平成8年12月31日まで) に輸出された輸送途上のものにつ
いては適用外とされるため、 1月以降の到着でもSSG発動以前の関税水準が適用
されるものもある (SGの場合は、 発動日以降に通関を行うものは、 すべてSG発動
後の関税水準が適用される)。
平成8年度の部分肉の基準輸入価格を例にとると、 通常の場合とSG発動の場合
の差が、 143.7円 (23.9%上昇) であったのに対し、 SG単独発動の場合と今回のS
G・SSG重複発動時の差は11.36円 (1.5%上昇) と上昇幅は小さい。 そのため、 SS
G発動によって12月までの状況と大きく市場が変わるとは考えにくい。
さらに、 今後の輸入動向により、 2月までに年度SGの発動基準数量を超えた場
合には、 平成9年4月1日から6月30日までの間、 3月で越えた場合は5月1日
から6月30日まで、 SGが発動されることになる。
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