● 11月の生産量
引き続き減少
11月の生産量は、 3万6千558トン (▲9.2%) であった (図1)。
和牛のと畜頭数は、 母牛飼養頭数の減少等から、 昨年11月以来、 前年同月を下
回って推移している (11月▲3.9%、 4〜11月累計▲5.8%)。 めすのと畜頭数の
減少率は、 去勢を4.9ポイント (4〜11月累計) 下回っており、 母牛の減少にブ
レーキがかかっているのではないかと期待される。
乳牛のと畜頭数は、 めす、 去勢とも1割以上も減少した (それぞれ▲12.3%、
▲13.2%)。
● 11月の輸入量
枝肉等の輸入が急増
11月の輸入量は、 例年の年末を控えて増加するパターンとは異なり、 輸入牛肉
の売り上げ不振に加え、 原産地高、 円安等から、 4万2千247トンと前月よりも
2千トン以上減少し、 前年同月を大幅に下回った (▲29.3%、 図2)。
その中で、 国産相場が極めて堅調なことから、 代替性の高い冷蔵枝肉、 四分体
等の輸入は、 豪州産を中心に、 1千48トン (209.1%) と前月に引き続き1千ト
ンを超えた。
米国産は、 冷蔵四分体等を除き、 全品目が前年同月を下回り、 合計で2万761
トン (▲25.9%、 図3−1) となった。
豪州産も、 同様の傾向で、 冷蔵枝肉、 四分体等を除き、 ほぼ全品目が前年同月
を下回り、 合計で1万9千533トン (▲34.0%、 図3−2) であった。
事業団調査によると、 12月の輸入量は4万5千トン (冷蔵品2万8千トン、 冷
凍品1万7千トン)、 1月は3万9千トン (冷蔵品2万4千トン、 冷凍品1万5
千トン)、 2月は1月に比べて冷蔵品は前月並み、 冷凍品はかなり減少するもの
と見込まれる。
● 11月の推定出回り量
引き続き減少
11月の推定出回り量は、 国産品、 輸入品ともに前年同月を下回り、 合計では8
万8千54トン (▲10.0%、 図4) であった。
家計購入量 (1人当たり) は、 4月以降、 BSE報道の影響から、 前年同月を1
割程度下回り、 更に7月からは病原性大腸菌O−157の影響が加わり、 低迷し、 10
月も依然▲11.3%と1割以上の減少となっている (図5)。
● 11月の推定期末在庫量
輸入品は10万トンを割る
11月の推定期末在庫量は、 国産品、 輸入品ともに前年同月を大きく上回り、 11
万109トン (15.1%、 図6) であった。 SG発動前に冷凍品の在庫が積み上がった
輸入品は、 7月をピークに徐々に減少し、 11月は9万5千546トン (14.6%) と
8カ月ぶりに10万トンを下回った。
● 11月の国産枝肉卸売価格
引き続き好調
11月の省令価格 (東京市場) は、 1,150円/kg (6.6%、 図7) となった。 国産
品へ人気が集まり、 かつ、 生産量が減少傾向にあることなどから、 引き続き高い
水準にある。
去勢和牛A2・A3は、 量販店の和牛取り組み強化等から引き続き好調である
(A3−1、 550円/kg (1.6%)、 図8−1)。 加えて上位等級のA4にも、 買いが
入り1,821円 (0.4%) と堅調である。 一方、 A5は、 高級品の需要がまだ弱く、
2,341円/kg (▲4.0%) と前年水準より下げ傾向が続いている。
交雑種 (F1) 、 乳用種去勢牛も、 輸入牛肉に代えて国産牛肉の取り扱いを強
化してきた量販店の需要等に支えられ好調である。 しかし、 9月に急騰した乳用
種去勢牛は、 引き続き高い水準にはあるものの、 冷蔵枝肉等の輸入が増えたこと
などから徐々に値を下げている。 (F1B3−1,320円/kg (1.3%)、 乳用種B2−7
89円/kg (14.5%)、 図8−2)
● 11月の輸入牛肉仲間相場
総じて値を上げる
11月の輸入牛肉の仲間相場は、 8月以降輸入量が絞り込まれたことに加え、 原
産地高、 円安等から、 値を上げる品目が多かった。
北米産は、 荷余り観のあるバラ系を除いて、 ロイン系を中心に全品目が前年同
月を上回っている。 冷蔵品112Aリブアイロールは、 1,799円 (18.7%、 図9) と
続伸した。
豪州産は、 チャックロールなどが下げたものの、 グラスフェッド・フルセット
は598円/kg (0.0%) と堅調であった。 また、 ショートフェッド・フルセットは
817円 (24.8%) と急速に値を上げている。
● 11月の黒毛和種の取引
価格は前年同月並み
11月の黒毛和種の取引頭数は、 5年8月以降の母牛頭数の減少等から、 3万4
千336頭 (▲3.3%) と引き続き前年同月を下回っている。 価格は、 38万円/頭
(▲0.3%、 図10) と前年同月並みであった。
● 11月のホルスの取引
頭数減などから価格続伸
11月のホルスタイン種の取引は、 母牛頭数の減少、 F1生産の増加等から頭数
が減少している。 価格は好調な枝肉価格を反映し、 肥育経営の購入意欲が強いこ
となどから、 12万6千円 (43.7%、 図11) と更に値を上げ、 引き続き大きく前年
同月を上回っている。
ヌレ子は、 前月より2千円値を上げ、 4万5千円/頭 (30.4%) と、 これも引
き続き大きく前年同月を上回っている。
● 11月のF1の取引
20万円台で推移
11月の交雑種 (F1) の取引は、 頭数が大幅な増加傾向にあるにもかかわらず、
価格は20万8千円/頭 (10.7%、 図12) と引き続き高い水準にある。 これは、
枝肉価格が底堅く推移し、 肥育経営の導入意欲が強いためと見られる。
一方、 ヌレ子は頭数の増加等からじりじりと値下げ、 8万9千円 (▲10.5%)
となった。
(注) 数字は農畜産業振興事業団調べ。 取引価格は、 おす・めす平均である。
元のページに戻る
月報「畜産の情報(国内編)の目次に戻る