◎巻頭言


日本の畜産業の健全な発展のために

農畜産業振興事業団 理事長 塩飽 二郎








 平成9年を迎え、 新春のお慶びを申し上げます。 年頭に当たり、 ひとことご挨
拶を申し上げます。 

 昨年10月、 行政改革の一環で、 畜産振興事業団と蚕糸砂糖類価格安定事業団が
統合し、 農畜産業振興事業団として新たに発足してから、 3カ月が経過しました。 
畜産業界の皆さまはもとより、 多くの方々のご支援とご協力を得て、 順調なスタ
ートが切れましたことについて、 心から厚く御礼を申し上げる次第です。 

 さて、 昨年を振り返りますと、 畜産業界には大きな事件が相次ぎました。 春か
ら夏にかけて、 英国からの報道に端を発した牛海綿状脳症 (いわゆる狂牛病) 騒
動、 病原性大腸菌O−157による食中毒の集団発生等であります。 

 これらの問題に対しては、 行政をはじめ、 関係者が一丸となって種々の対策に
取り組んだ結果、 新年にかけてその影響も鎮静化に向かっていると考えます。 

 これらを通じて、 消費者の関心が特に高い食品の安全性、 品質表示等について、 
今まで以上の配慮が必要なこと、 更に畜産物の需給安定上も、 正確な情報を的確
かつ迅速に提供することの重要性を改めて、 認識した次第です。 

 創刊以来8年目に入る本誌 「畜産の情報」 を中心とする当事業団の情報収集提
供業務については、 これまでも的確かつ迅速な情報提供を心がけてきました。 今
後も、 畜産物の適切な価格形成や畜産経営の体質強化に結びつく情報を充実する
とともに、 活字メディアだけでなく、 インターネットや通信衛星などの新しいメ
ディアをも利用して、 より広く、 より深くと、 一層の充実を図って参りたいと考
えています。 

 海外の情報収集につきましては、 これまでの3事務所 (シドニー、 デンバー、 
ブリュッセル) に昨年10月開設のシンガポール事務所を加え、 4事務所体制で行
うこととなりました。 アセアン諸国を含めた世界の情報を、 より的確に提供して
いきたいと考えています。 

 我が国の畜産業をめぐる情勢は、 国際化の進展に伴い生産、 流通の一層の合理
化が求められるなど大きな変化が見られる中で、 わたくしどもに課された使命は
ますます大きくなって行くものと考えております。 本年も、 役職員一同、 心を新
たにして、 日本の畜産業の健全な発展のために努力して参りますので、 なお一層
のご指導とご協力を賜りますようお願い申し上げるとともに、 皆さまのますます
のご健勝とご多幸を祈念いたしまして、 年頭のあいさつと致します。

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