● 11月の生産量
前年同月をかなり下回る
11月の生産量は2カ月前のえ付け羽数が前年同月比▲5.5%となっていること
などから10万4千71トン (▲6.1%) と10月に引き続き前年同月を下回った (図
1)。
11月のブロイラーひなえ付け羽数は、 5千157万羽 (▲1.4%) となった(図2)。
主要3県の11月のひなえ付け羽数は、 岩手766万羽 (▲5.8%)、 宮崎820万羽 (▲
6.0%)、 鹿児島935万羽 (0.4%) となっている。
農林水産省統計情報部は、 ブロイラーひなえ付け羽数について、 前年同月と比
べて12月▲2%、 1月▲2%、 2月▲3%と見ている (12月上旬聞き取り)。
● 11月の輸入量
前年同月を大幅に上回る
11月の輸入量は5万420トン (16.4%) と前月に引き続き前年同月を大幅に上
回った (図3)。
国別に見ると、 中国産は、 中国国内において合併企業を中心に生産体制が整っ
てきたこともあり、 前年同月を大幅に上回って推移しており、 11月も1万8千63
4トン (35.6%) となった。 米国産は、 骨付きももが8千763トン (1.9%)と前月
に引き続き前年同月を上回り、 その他のものが4千305トン (▲0.6%) となり、
合計では1万3千68トン (0.9%) となった。 タイ産は、 輸入価格が主要輸出国
中で最も高く、 前年同月比でもかなり上回っていることもあり、 8千765トン
(▲12.4%) となった。 一方、 ブラジル産は、 9千670トン (57.3%) となってお
り、 8年4月からの累計では、 8万1千985トン (23.4%) と中国産、 米国産の
対前年増加率 (それぞれ8.4%、 6.3%) を大きく上回っている。
● 11月の推定出回り量
前年同月をわずかに下回る
11月の推定出回り量は、 15万2千973トン (▲2.2%) となった (図4)。
輸入品は、 輸入量が先月に引き続き前年同月を大幅に上回ったことなどから、
4万9千197トン (8.2%) となった。 国産品は、 生産量が前年同月を下回ってい
ることもあり、 10万3千776トン (▲6.5%) となった。
● 11月の推定期末在庫量
前年同月をかなり上回る
11月の推定期末在庫量は、 13万318トン (6.1%) となった (図5)。
輸入品は、 輸入量が前年同月を大幅に上回ったことから出回りがかなり増えた
ものの、 11万6千746トン (7.8%) となった。 国産品は生産量が前年同月を下回
って推移していることなどから、 4月以降8カ月連続で前年同月を下回っており、
11月は1万3千572トン (▲6.2%) となった。
● 11月の国産鶏肉の卸売価格
もも、 むねとも前年同月を大きく上回る
11月の国産鶏肉の卸売価格 (東京・平均) は、 生産量が前年同月を下回ってい
ること、 原産国表示義務化により国産フレッシュものの引き合いが強くなってい
ること、 銘柄鶏に生産がシフトしていることで一般的なブロイラーの供給量が減
少していることなどから、 もも肉、 むね肉とも前年同月を上回っており、 それぞ
れ665円/kg (18.1%)、 313円/kg (11.0%) となった (図6)。
12月末には、 もも肉が744円/kg、 むね肉が366円/kgとなっている (東京・中
値 「畜産物市況速報」)。
● 11月の輸入鶏肉の卸売価格
中国産もも、 5カ月ぶりに前年同月を下回る
11月の輸入鶏肉の卸売価格は、 中国産もも肉が、 5カ月ぶりに前年同月を下回
り、 352円/kg (▲2.2%) となった。 米国産骨付きもも肉は、 10月より5円下げ
て273円/kg (2.6%)、 タイ産もも肉は、 393円/kg (0.5%) となった (図7)。
12月の価格は、 中国産もも肉が378円/kg (▲0.5%)、 米国産骨付きもも肉が2
80円/kg (0.7%)、 タイ産もも肉が405円 (2.5%) となっている。
国内生産の動向
国産鶏肉の卸売価格 (もも肉とむね肉の合計値) が8年1月以降、 前年同月を
ほぼ10%以上、 上回って推移している。 これには、 国内生産の減少が一因となっ
ている。 国内生産量は7年12月以降、 前年同月をほぼ下回って推移し、 1〜6%
の減少率となっている (図8)。
この要因としては、 飼養戸数の減少、 海外への生産シフト、 輸入量の増加傾向
に加え、 施設の老朽化、 近年の収益性の悪化などから生産者が増産に踏み切れな
いこと、 種鶏の生産性の低下等からひなの供給がタイトなこと、 生産コストの多
くを占める飼料価格が上昇していることなどが挙げられる。
昨年来、 「食の安全性」 が消費者の最大の関心事の一つになった。 8年8月か
ら原産国表示が義務づけられたことや、 銘柄鶏人気も手伝って、 生産者の顔が見
える国産品への引き合いが強まっていると見られる中で、 今後の国内生産動向が
注目される。
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