◎地域便り


低コストモデル肥育牛舎完成−和牛の地域内一貫に弾み−  

北海道/橋立 賢二郎
 北海道十勝管内大樹 (たいき) 町に黒毛和種が導入されたのは昭和32年。 道
内では比較的早い方であり、 主に開拓地に導入された。 その後、 地味ではあった
が活動を続け、 昭和40年には肉牛生産組合が発足、 さらに昭和54年、 北海道
で7番目の認定和牛改良組合として、  「大樹町和牛生産改良組合」 が誕生した。 
組合員は55戸、 ほとんどが畑作との複合経営だが、 約1,000頭の繁殖牛を
もつ。 しかし、 地元で肥育される頭数が少なく、 多くは素牛として販売されてし
まう。 付加価値向上を目指し、 肥育を取り入れているが、 頭打ちの状態。 その多
くは肥育舎が無く、 肥育しようにもできない、 あるいは拡大できないのが実態な
のである。 

 そこで、 農業改良普及センターをはじめとする関係者が知恵を出し合い、  「低
コスト肥育舎」 建設を普及することにした。 
地元産カラ松材を活用し、 森林組合の協力の下、 まず、 モデルとして次の条件で
6棟 (6戸) 建てることにした。 

1) トラス (屋根の骨組み) 部分を統一モデル化し、 パーツ化した状態で供給し
 てもらう。 

2) 柱立ては森林組合が行い、 トラスの固定や補強、 屋根ふき、 飼そうの設置な
 どすべてを6戸共同作業で行う。 

3) ゲートや骨材などすべてを共同購入する。 

 資金面では今年度スタートした北海道農業元気作り事業を取り込むことにした。 
その結果、 190平方メートル (20〜24頭肥育)を350万円 (坪6万円)で
作ることに成功した。 なお、 肥育舎の建設に当たっては次の点に配慮した。 

1) 換気が十分行えるよう東・西面は開放式とする。 また、 西・北面は引き戸や
 トタン張りとし、 冬は季節風を防ぎ夏は涼しさを確保する。 

2) 北側に飼そうを配し、 冬は南面の暖かいところで十分寝てもらう。 

3) 間口を広く取り、 1頭当たりの採食スペースを広くする。 

4) 排ふん作業の省力化のため、 トラクターの走行を容易にした。 

5) 管理作業はすべて明るいうちに済ませることとし、 電気の配線を行わない。 

6) 将来増築ができるよう、 前後左右に十分なスペースを設ける。 

 6棟すべてを共同作業で建てたが、 そのことによって全員が組み立て順序や方
法が理解でき、 後に続く建設希望者を指導することができる。 すべてが11月中
旬に完成、 12月7日、 盛大に竣工式が行われた。 竣工式には70名の関係者が
集い、 これで地域内一貫に弾みがつくと張り切っていた。


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