◎地域便り


消費者の視点に立った肉牛勉強会

北海道/田中 義春
 従来の経営主を対象にした生産技術研修から、 今年は婦人に消費者の視点に立
った肉牛生産を学んでもらおうと、 北海道網走管内黒毛和牛生産婦人部研修が2
6名の参加者を集めて、 札幌で2泊3日の日程で行われた。 

 視察先の卸売業者からは、  「今後はサシより中クラスの肉質を中心に安定的に
出荷するべきで、 見た目よりは味、 特に口に含んだ時のとろみが要求されている、  
「価格はスーパーが判断しているのではなく消費者が決めている」 などの意見が
出された。 その後、 大型デパートの食肉売場で実際に肉を見ながら、 買い物客の
肉を購入する際の選択基準について販売担当者から話を伺った。 

 続いて、 札幌の消費者との意見交換と管内で肥育し、 最近急速に生産が伸びて
いる生田原 (いくたわら) 地域の肉の試食を行った。 A4の肉を使ってポトフ、 
ビーフステーキなどフルコースがテーブルに出された。 通常で1万円相当の料理
ということもあって婦人たちはゆっくり味わいながら試食した。 その席で札幌の
消費者から北海道でどのような牛が肥育されているのか、 エサは何を食べさせて
いるのか、 生産者側からは自分で作った牛がどこでどのような流れで消費されて
いるのか、 など双方から活発な質疑応答が行われ相互理解を深めた。 

 網走管内の黒毛和牛の頭数は平成2年4, 500頭が7年には9, 400頭
と年率14%の驚異的な増え方を示している。 地域によっては倍近くまで増頭し
ているところもあり、 これだけの急激な伸び率は他作物では見られない。 生産現
場でその多くを担っている婦人の存在、 意識は極めて大きい。 

 今年初めて行われたこの研修、 来年も続けてほしいという意見が聞かれた。 昨
年までの研修に比べ、 消費者の視点に立った肉牛の生産戦略を探ろうとする試み
は意義深いものであった。

【レストランで自分達の地域で生産された牛肉を試食する婦人たち】


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