◎地域便り


肉用牛肥育経営における敷料リサイクル

岩手県/鈴木 賢
 岩手県の沿岸南部、 気仙地方に位置する住田町農業協同組合では、 平成8年3
月に、 たい肥化した敷料を再び敷料として利用するために 「敷料リサイクルセン
ター」 を設置し、 肉用牛肥育経営における敷料の再利用化を推進している。 

 住田町では、 約3, 600頭の交雑種牛の肥育が行われているが、 ふん尿処
理の問題とともに、 敷料に用いる大量のおが屑の購入コストにも頭を悩ませてい
た。 

 そこで、 同農業協同組合では、 これらを同時に解決する方法として、 たい肥の
水分を減少させ、 敷料への再利用を検討してきた。 技術的には、 たい肥に特殊な
生菌剤と酵素を定期的に添加して発酵を促進させたうえで、 回収後、 別の場所に
移してさらに水分を減少させ、 再び敷料として利用しようというものである。 

 このほど完成した施設は、 岩手県の地域農業確立対策事業 (県単事業) により
設置したもので、 4棟 (1棟当たり162u) のパイプハウス施設を作り、 施設
の資材にも古畳の芯のプラスチックを廃物利用するなど、 様々な低コスト化の工
夫がなされている。 

 計画では、 管内の18戸の肥育農家からたい肥を 「敷料リサイクルセンター」 
に集め、 切り返し等によりさらに発酵・乾燥を行い、 再び肥育農家に敷料として
供給することとしている。 

 最近、  「敷料リサイクルセンター」 の利用率は高まっており、 町内のふん尿処
理問題の解決と肥育農家における敷料費の大幅なコストダウンにつながっており、 
今後は、 この敷料の発酵・乾燥物の耕種農家での利用について、 技術的に検討し
ていくこととしている。


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