◎地域便り


おいしい牛乳作りで研修会

福島県/片桐 紀生
  (株) 全国農協乳業プラント協議会主催の第9回 「おいしい牛乳作り官能検査
員研修会」  (平成8年度牛乳乳製品需要開発事業) が福島県矢吹町の全酪連教育
研修センターで10月29日から31日までの3日間開催された。 

 北海道から、 九州までの農協プラント16社24名の職員が参加したが、 製造
関係の技術研修会の中で、 女性職員が9名も参加しているのが目をひいた。 女性
特有の繊細な感覚や、 微妙な風味を鑑別する能力が 「おいしい牛乳」 作りに大き
く役立っているものと思われる。 参加者の農協プラントでの所属は製造、 品質管
理、 商品開発、 検査と多岐にわたっている。 

 今までは成分的 (脂肪、 タンパク質) 、 衛生的 (細菌数、 体細胞) な乳質改善
に重点が置かれ、 これらの点では非常に改善されたが、 これからは風味の改善が
重要になる。 そのために牛乳の官能検査が必要とされている。 

 初日は (社) 全国農協乳業プラント協議会の前原専務が 「最近の酪農情勢を踏
まえたおいしい牛乳作りの必要性について」 と題した講演を行った。 その中で 
「基幹商品である成分無調整牛乳の品質向上をさらに行い、 おいしい牛乳で差別
化を図る必要がある。 農協プラントには生産者の顔が見えるという利点があるの
だから、 生産者にも自分が生産した生乳に責任を持たせるために、 バルクタンク
乳の風味を確認させる指導が必要」 と語った。 続いて食品評価研究所の野口所長
による 「牛乳官能検査の基礎」 についての講演があった。 

 牛乳の官能検査では、 10℃で外観検査を行い、 5〜10mlを口に含み検査す
るのが一般的だが、 アメリカ酪農科学協会には牛乳の風味についてのスコア評価
が31項目あり、 それに従って評価される。 品質の特性をより的確に評価するた
めに消費者が求める風味を理解しなければならない。 

 2日目は (財) 日本乳業技術協会の中野常務、 元持課長補佐を講師に 「牛乳官
能検査の各論と検査実習」 が行われた。 実際にサイレージ臭や酸化臭などの様々
な風味の牛乳の匂いをかいだり、 コクや濃厚感、 新鮮感などについて口に含んで
比較評価した。 

 チーズ鑑定士があるように、 これからは 「風味のよいおいしい牛乳作り」 のた
めの牛乳鑑別のプロの存在がますます重要になるものと思われる。


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