愛知県/今井 幸一
愛知県大山市で地ビールの生産が開始された。 メーカーは、 その副産物である ビール粕の処分に苦慮し、 農業での利活用について、 県畜産関係機関に助言を求 めてきた。 乳牛の飼料として利用できることから普及センター等が協力して、 地 元の尾張酪農組合員に利用者を募った。 この結果、 工場から近い大口町で搾乳牛 を212頭飼育している酪農家1戸が利用することになった。 ビール粕の出る量に季節的変動はあるが、 おおむね1週間に2回、 計1,30 0立方メートル搬出される。 ビール工場では、 水分95%ほどの生ビール粕が容 量350立方メートルの塩化ビニール製のコンテナに入れられている。 これを酪 農家がトラックで直接取りにいき、 無料で受け取っている。 給餌量は約8kg/日・ 頭である。 通常流通しているビール粕と比較すると赤褐色で、 また、 日数が経っ ていないため発酵が進んでおらず酸味はない。 工場の生産体制が軌道に乗るまでビール粕の供給量は不安定である。 しかし、 利用農家は、 牛の嗜好性も良いことから継続的な利用と量の増大を希望している。 酪農家は飼料費の低減、 メーカーは副産物の適正処理と、 両者にメリットがあ り地域で良好な関係づくりができている。元のページに戻る